世のため人のために生きる



 この世に生まれて、最も幸せな生き方ってご存知ですか?

 それは、世のため人のために生きることなのです。これは、私が尊敬する人生の師から教わりました。

 最初は、自分自身のこともちゃんとできていないのに、世のため人のためはないだろうと思っていました。逆に社会や他人から助けてもらいたいぐらいの思いだったのです。

 でも、それでは、幸せを感じないことが後になってよくわかりました。人から与えられてばかりであれば、真の幸せは感じられません。なぜなら、生き方が受け身だからです。受け身の人生は、つまらないものです。

「人は自分で自分の人生をコントロールできる立場になった時、最も生き甲斐、そして幸せを感じる」

 ウエイターから始めて、一代でレストラン帝国を築きり上げた、米国「外食産業の神様」、ノーマン・ブリンカー氏と、幸福論について、彼の自宅で夜を徹して議論し合った時、きっぱりと言われました。当時ピンとこなかったのですが、そのことを私が悟ったのは、独立した直後の頃でした。


 講演や執筆で「ギブ&ギブ&ギブ」の法則をよく紹介します。

「ギブ&ギブ&ギブ」の法則とは、一言で言うと徹底して相手に与え続けることです。丁度、親が子供に対してするようにです。ギブを3回続けて書いているのは、徹底したギブだからなのです。何事も徹底してやらなければ、メッセージとして伝わりません。よく、3回続ければ、ほとんどの場合、伝わるとされています。

 世の中の良好な人間関係は往々にして「ギブ&テイク」だと言われます。確かに、ビジネスの世界では、それが望ましいとされています。どちらか一方が与え続けたり、得続けたりしていたら、不公平な関係となります。どちらかがフラストレーションを感じ、関係は切れてしまうことが常です。

しかし、私は敢えて一方的に与える立場をとるべきだと考えています。それも、何か得ることをまったく期待することなしにでです。

なぜなら、ノーベル経済学賞受賞者、ミルトン・ミラー博士も、「この世では、死ぬまで与え続けられるということはなく、人に何かを与え続ければ、必ずそのいい原因による結果は自分に返ってくる」と言われたように、それは必ずしも同じ人からとは限りませんが、誰からともなく、与えたものが返ってきます。返ってくる形はまちまちですが。

経験上、もし誰かに対して「ギブ&ギブ&ギブ」を実行したならば、その相手は、必ずあなたのファンになります。ファンになれば、あなたのためになることをしようとします。

例えば、あなたのためになる情報や人を紹介してくれたりします。また、いつもあなたが成功することを願い祈り、現実にあなたにいいことが起これば、自分のことのように喜びます。それだけ、その人はあなたの強力な見方になってくれるのです。「ギブ&ギブ&ギブ」を周りの人全員にすると、周りの人全員があなたのファンになってしまいます。

そしたら、あなたは、時間の問題で、彼らから発せられる感謝の気持ちとあなたが成功することへの願い・祈りで、どんどん運がよくなることでしょう。それもそうです。彼らは思いだけでなく、実際の行動まで起こし、運のよくなる人や情報をどんどん運んでくれるからなのです。

 徹底して世のため人のために生きようとしたら、相当自分に力をつけなければなりません。そうでないと、自分のことだけで精一杯で、そんな生き方ができないからです。だから余計気合いが入って自分のことでも頑張れるのです。

単なる自分のためだけでは、なかなか人間頑張れないものですが、世のため人のためなら、実は凄くエネルギーが出てきて頑張れるものです。母親が子供のために、「母は強し」で、信じられない力が出せるのも同じことです。

 自分が世の中や人のためになっているとわかると、そもそも人間が無意識に持ち合わせている歓喜の力が湧き上がってくるのです。この歓喜の力というのが凄いのです。計り知れないパワーがあります。命懸けで頑張れる力なのです。