学は光



「本物の学問は人間に正しく生きる知恵を与えてくれるんやで」

 今でも忘れません。松下幸之助氏のこの言葉を。

当時の私は高校三年生でした。勉強が嫌いで成績が悪い。でも商売で成功したくて、日本一の長者で「商売の神様」とも言われていた松下氏に、直接聞きにアポなしでお会いした際のこと。

 まったくつてもなく、ただただ直接アドバイスを頂きたいとの思いで、自宅や会社の入口で、ストーカーの如くウロウロ。お会いするチャンスを伺って1週間後、遂にお話できたのでした。突然の怪しい訪問者である私に秘書や警備員が遮ろうとしたとき、松下氏は言いました。

「まあええやないか。ちょっと話聞こか」

ちょっとのはずが、20分近く話し込む結果に。スケジュールを気にする秘書が私を睨みつけていました。

松下氏は成功には学は必須との見解でした。

「これからの社会では高等教育は成功のための絶対条件や。大学に行ってしっかり勉強しや。無知では成功できへんで。人がついてきいへんから」

 松下氏は、本当は高等教育、特に大学で勉強したかったとのこと。大学へ行きたかったのですが、健康上、また経済的には高等教育を受ける状況にはなかったのです。

 しかし、その分猛烈に勉強しました。特に本で学んだ理論を現場での実践を通して確認していきました。

その結果、数々の「松下経営哲学」とも言える実践に裏打ちされた理論・理念を打ちたてました。今でも多くの経営者やリーダーは、その哲学を学び、応用しながら、経営や組織運営をしています。私は松下氏から教わりました。

成功するには、まず理論を学び方針を打ちたて、それを実践に応用すべきことを。