自分棚卸を



 成功する人の共通点の一つに自分のことをよく知っていることがあげられます。伸びる人は、自分のことをよく知っています。つまり、自分の長所・短所をよく掴んでいます。

 なぜ長所・短所を把握しているかと言えば、定期的に「自分棚卸」をしているからです。

「自分棚卸」とは、自分の長所・短所や人脈など目に見えない正・負の人間としての資産・資質を正確に認識することです。

できる人は自分の長所・短所を正確に掴むことで、確実に長所を伸ばし、短所をなくそうと努力します。成功するためには、実は短所をどれだけ克服できるかにかかっています。長所はほっといても、まわりの人から評価され、ちょっと努力するだけでさらに伸びていくものです。しかし、短所は皆から厭に思われているのに、意外と自分では気づかないものです。心して「自分棚卸」をしないとわかりません。また、わかったとしても、なかなかよくなりません。長年の悪い癖や習性でもあるので、そうは簡単によくなりません。

 正確な「自分棚卸」をするためには、家族を含め身近な人に長所・短所を指摘してもらったら効果覿面です。恐ろしいことは、みんなが短所だと思って迷惑しているのにもかかわらず、本人は、長所だと勘違いし、直すどころか全面的に押し出したりすることが。

 従って、「自分棚卸」作業で最も大事であるのは、自分が自分のことをどう評価するかではなく、他人からどう見られているかということを正確に謙虚に把握することです。

松下電器産業(現パナソニック)をゼロから立ち上げ、世界的な企業に育てた「経営の神様」と言われる故・松下幸之助氏は、いくつになってもこのことを実行していたそうです。ですので、お会いした際、「ご自身であらためる点があるとすれば何か?」との質問に、「人間としてもっともっと素直になること」と、驚くべき返事をさるのです。

 立身出世のお手本で、若い頃より大変な苦労されたことから、人間主義経営で知られる松下氏が本気でご自身がもっと素直にならなければならないと思われていたのです。彼をよく知る人達から聞いたのですが、彼ほど素直なリーダーに会ったことがないそうです。