転職してもいい時


転職してもいい時とは、大きく分けて三つあると思います。

あなたがある程度の期間勤めてきた会社や組織から、将来の目標から照らし合わせて、もうほとんど何も学べなくなった時、または居場所がなくなった時、更に会社や組織のリーダー並びに上司に仕事上の根本的なことで従えなくなった時、です。

よくよく考えてみて下さい。まず、転職してもいい一つ目のタイミングは、勤めている会社や組織からほとんど何も学べなくなる時ですが、本当にそんな時って来るのでしょうか?

 そんなレベルに達するのは至難の業ではないでしょうか。


 私も大手コンサルティング会社に就職した際、10年以内に同業で独立するという目標を立てました。ですから、会社や上司の素晴らしいところや凄いところを、徹底的に学び盗むことで必死の毎日でした。しかし、当時そんなことをしながら思いました。一生かかっても学びきれないだろうと。

 とすると10年で独立するということは、無謀なのではないかと思い始めたのです。案の定、新卒で就職してから10年経って、いざ独立しなければならない年になっても、自分があまりにも未熟過ぎて、とても独立できるレベルではないと痛感したのです。

 ですから、なかなか独立できなかったのです。最後は上司に相談したところ、彼が上手く私を独立へとプッシュしてくれたのです。今から思うと、その上司の厳しくも暖かいプッシュがなければ、あのタイミングでは独立できなかったことでしょう。

 その前に私は転職を一度経験しています。その転職も素晴らしい上司の後押しがあればこそできたのです。

 振り返ってみると、私の場合、渡米にしても、転職にしても、また独立にしても、いつも尊敬する目上の人が、後ろ盾してくれたのです。本当に有り難いことです。

 日本に帰国してから、再度経営コンサルティング会社を立ち上げた時も、後ろ盾してくれた先輩経営者がいました。その方は今弊社の名誉会長をして頂いています。

 

 転職してもいい二つ目の時は、会社や組織で居場所がなくなった時と述べました。そうなるためには理由があります。

たとえば、時代の流れが大きく変わり、リーダー的存在だったあなたが、もう会社や組織をリードできなくなった時です。その場合、会社や組織にとって明らかにお荷物になっています。若手もしくはできる人にバトンタッチし、そんなあなたをまだまだ本当に必要としてくれる会社や組織に移るべきでしょう。

素直で前向きに一生懸命働く気があれば、行く先はいくらでも出てきます。


会社や組織のリーダー並びに上司に、仕事上の根本的なことで従えなくなった時を転職してもいい三つ目の時として紹介しました。これは、あなたの存在が、その会社や組織の団結力を乱す存在となるので、自分から身を引くべきでしょう。周りから、あなたは癌的存在と見られ、厄介ものとして扱われています。

その会社や組織に固執すればする程、お互いに不幸になっていきます。結末は、あなたが雇われている立場であれば、一方的に切られるしかありません。会社や組織にとって悪の存在になってしまったのですから、どうしようもないのです。

それは、会社や組織、また周りの人達のせいではありません。あなた自身が環境の変化に対応できなかった、つまり融通性不足であったためです。

要するに「原因結果の法則」からして、あなた自身のせいなのです。それを人のせいにしていたのでは、次のところでも同じような失敗を繰り返すことでしょう。


やはり、時代が変わっても、仕事をする上で、いつも通用するルールがあります。それは、「経営の神様」であった故・松下幸之助氏が常時言い続けていたことです。

「いつも素直で謙虚にしていること」

これは、万国共通でもあります。素直で謙虚さのない人は、どこに就職しても、また転職しても、長続きしません。

忘れてはならないことは、我々は一人では何もできない人間社会に生きていることです。素直で謙虚になれるのは、一人では微力であることを悟り、お世話になっている人々への気配りを大切にしているからこそできることです。