仕事が面白くなる方法



 一言で言うと、徹底的にやり抜けば仕事は必ず面白くなります。

逆にやり抜かなければ、どんな仕事も、どんなに成果が出ても、本当の意味で心から納得はいかないでしょう。仕事における面白味とは、要するにやり抜いた人だけが味わう達成感・充実感なのです。


 全国から勝ち抜いてきた高校野球チームが毎年夏に甲子園で熱戦を繰り広げます。ある時、テレビを観ていたら、ある一回戦の試合前に、アナウンサーが、その甲子園大会出場高校の選手に聞きました。

「年中毎日休みなくハードな練習なのに、なんで今まで野球を続けてこれたのですか?」

一人の選手が答えました。

「野球が好きだからです!」

同じ質問に、もう一人の選手も返答しました。

「野球が面白くてたまらないからです!」

 このやり取りは実に仕事にも当てはまると思いました。彼らにとっては野球が仕事なのです。

 

勉強が大嫌いで苦手だった私も、本来なら頭を使う仕事が嫌いなはずなのです。しかし、ある時から仕事がとても面白くなりました。趣味以上で、時間があればついつい仕事をしてしまいます。

私としては、仕事をしているつもりではないのです。一番楽しいことをしているだけです。好きで楽しいことをしてお金をもらうのは、なんか申し訳ない気持ちがあります。いつからそうなったのか記憶にないのです。


でも、新入社員の頃は、仕事が嫌で嫌でたまりませんでした。毎朝出勤してからの勤務時間の長いこと長いこと。

「なんで仕事ってこんなにきつくて辛いのだろう… 僕はフリーターの方があっているのではないのだろうか?」

 こんな風に毎日真剣に悩み葛藤したものです。仕事が終わって家に帰ると、精神的にも肉体的にもくたくたで何もする気になれないのです。

寝る時間になると、明日も会社に行かなければならないかと思うと段々憂鬱になってくるのです。朝起きると出社拒否したい気持ちとの戦いです。とにかくそんな毎日の現実から逃げ出したくてしょうがありませんでした。

 もう限界を感じた私は、常日頃尊敬していた勤務先KPMGの日本人の先輩に相談するため、彼を食事に誘い出しました。ちなみに、彼は米国の大学と経営大学院(ビジネス・スクール)を出て、既に10年以上米国に住んでいたのです。


「先輩! 僕もうダメです。うちの仕事は僕には向いていないようです。もう会社辞めようと思います……」

「何弱音吐いているんだよ! みんなやってきたことだぞ。君だけできないわけはないよ。頑張れよ!」

「しかし、先輩、僕には本当に無理です。そもそも能力ないのに、元気で一生懸命だからということで、お情けで会社に採ってもらったようなものなので…」

「ばか言うんじゃないよ! 業界でも採用に慎重で厳しいうちの会社が、お情けで人を採るわけないだろう!」

「でも、今みたいなことを続けていたら、間違いなく時間の問題でクビになると思います」

「じゃあ、クビになるまで働き続けたらいいじゃないか。俺はクビになるとは思わないよ。みんな君みたいに同じ時期に悩むんだ。まあ、キャリア・アップの一プロセスだなあ。昔流行った言葉があるじゃないか、『みんな悩んで大きくなった』って」

「でも、きつ過ぎます。僕は能力ないし、向かないみたいだから…」

「もういいよ、男らしくないぞ! とにかくやれるだけやってみろよ! 死ぬ気で徹底して仕事をやり抜いてみろ! 君の努力はまだまだ中途半端だぞ! まず3ヶ月間やり抜いてみろよ! 必ず成果が出て楽しくなってくるから。俺も入社当初君みたいに悩んだけど、俺の場合は君と違って家族がいるから、そう簡単に辞められないよ。辞めても他に行くとこないし、家族の生活がかかっているからな」

 主として家族の生活を彼が一人で支えているのを聞いた瞬間、私は目が覚めました。いかに自分が甘えていたか。

私は独身でしたから自分だけの面倒を見ていればいいのです。でも、その先輩は若くして結婚し、2人の子供がいたので、家族を経済的に支えなければならないのです。一歩も現実から逃げられないのです。

私も一大決心をしました。先輩が言われた通り、3ヶ月間徹底的に仕事をやり抜くことを。やり抜いて、やっぱりダメなら諦めがつくと思ったのです。


それからというもの、人よりも二時間早く出社し深夜まで徹底して仕事をしました。そしたら、周りからの評価は上がり、成果も出ること出ること。いかにそれまで、本当の意味での仕事をしていなかったがよくわかりました。


徹底的に仕事に打ち込み、やり抜き始めると、成果が出るばかりではなく、自分の将来や長所・短所がより見えてくるのです。また、そうなると、人間的にも成長し、仕事も段々面白くなってきます。