先ずは、きちんと挨拶しよう



「たった一言の心のこもった挨拶が、自らをやる気にし、職場全体の団結を生む」



 20年以上日米アジアでビジネスをしてきて、たった一人の心のこもった挨拶の凄さを何度も経験しました。

 特に会社や組織が大変な時に、一人の勇気ある社員の心のこもった熱い挨拶が、会社や組織再生において、思わぬ原動力となり、奇跡的なカムバックを果たしたりもします。

 たかが挨拶一つですが、挨拶というものは、計り知れない無限大のパワーを秘めている魔法のメッセージです。

 どうしてでしょうか?

 それは、人間が所詮「感情の動物」であることの証だからです。

 何だかんだと理屈をこねても、結局やるかどうかは、好き嫌いや、のりの良さ悪さで、決めているからなのです。

 考えてもみて下さい。

 どんなにいい商品でも、売っている人が嫌いだったら、あなたはその商品を買いますか?

 私は買いません。

 どうしても欲しい時は、同じ商品でも違う人から買うでしょう。

 そうすることで、嫌いなその人を介さなくても済むのです。つまり、会ったり話したりしなくてもいいのです。その方が、気分が悪くならなくて済みます。

 一方、大好きな人が、商品が売れなくて困っていたら、もし少しでもその商品を使う必要性があれば、感情的に買ってあげたりしたことはありませんか?

 私はしょっちゅうです。なんとか応援したいからなのですが。

 おそらく、その人の喜び顔が見たいのです。


 私自身も、新人だった頃、この件で痛い経験をしました。

専門能力的にはとてもとても顧客開拓できるレベルではなかったのですが、会社からどんどん営業をするように言われました。

 職場で皆が簡単にこなしている普通の仕事さえできない私にとって、不可能なリクエストにしか思えませんでした。

営業をしなければならないプレッシャーは、どんどん追いかぶさってきました。しかし、相変わらず、成果ゼロです。

 考えたあげく、それ以上頑張っても、どうしても営業で成果を出せる自信も見込みもまったくありませんでしたので、退職することをほぼ決意しました。

 ただ最終決断する前に、尊敬する先輩に相談することにしました。

ところが、退職のことで相談したにもかかわらず、彼には挨拶のことで厳しく叱られたのでした。


「営業ができないから退職したい? そんなことより、君にはもっと大切なことがある。そもそも君は入社当時から挨拶がなっていないよ。それも酷すぎる。営業のことをいう前に、あんな挨拶じゃあ社会人として失格だ。あんなに元気がなくぼそぼそ挨拶されたんじゃあ、営業しにいっても、誰一人客になってもらえないぞ! 第一あんないい加減な挨拶されたら、誰だって話もしたくなくなるよ。会社を辞めるのは君の勝手だし簡単だ。しかし、辞めることを考える前に、社会人として基本となる挨拶ぐらいちゃんとできるようになれよ! そんなことぐらいできないと、どこの会社行っても、同じように通用しないぞ!」

 それでハッとしました。

「そうかー。僕は挨拶一つできていなかったんだ。それじゃあ、職場で皆に好かれないのは、当たり前だなあ。皆きっと僕のことを、挨拶もちゃんとできない無礼なやつと思っていたんだろうな。職場だから皆我慢していたんだろうけど。そんなやつにお金出してまで、仕事頼まないよなあ……」

 大反省です。


 それから心を入れ替えてどんどん積極的に心のこもった元気な挨拶をするようにしました。

 そしたら、不思議と私自身が仕事をバリバリやる気になっていったのです。

 それ以上に、嬉しかったことは、上司からつくづく言われたのです。

「一番の若手である君が元気に挨拶できるようになって、職場が明るくなった。そして、凄いことは、皆が団結するようになったんだ。心から感謝するよ」

 感激して思わず涙が出てしまいました。