ないものに心を縛られるのはやめて、あるものを考えよう



「あれもない、これもないと不平・不満を言っているからダメなのだ。あれもある、これもあるというポジティブな姿勢が人も運も引き寄せる」



 ダメな人の共通点の一つは、いつも「あれもない、これもない」と不平・不満を言っています。私はそんな人を「ないない人間」と呼んでいます。

「ないない人間」は、あるものを素直に評価・感謝せず、ないものばかり見つけては嘆くのです。

「あ~あ~、なんて僕は不運なんだろう! 何にもないや……」と。

 私も新人だった頃は、「ないない人間」でした。

ですから今でも、「ないない人間」に対して、「バカもん! ないないなんて言うな!」とはとてもとても、怒れません。

 逆に「ないない人間」に会うと、懐かしくなります。

「あー 昔の僕だ!」という具合に。


 それでは、なぜ私が「ないない人間」から脱皮できたかわかりますか?

 それは、簡単なのです。

 大学を出て、米国の経営大学院(ビジネス・スクール)に行くために、渡米しました。ところが、受験したビジネス・スクール7校すべて落ちてしまい、急に何もすることがなくなりました。

 それだけならまだいいのですが、所謂ジョブレス&ホームレス状態になってしまったのです!

自分が、極端に頭が悪いことは、前々からわかっていました。が、そこまで不運で悲劇な人間になるとは、それまで思いもしませんでした。

当時私は、日本人版「レ・ミゼラブル」の主人公になったような気持ちになりました。

その人生においてどん底の時に、その後の私の人生を大きく変えた、あるドイツ系アメリカ人主婦との出会いがありました。


彼女の名前は、ステファニー・テンジー。

ご主人は、ボブ・テンジーといい、昔ヒッピーをやっていたのです。しかし、その彼が後に外交官になって世界平和のため活躍するほど、人生を拓いたのでした。その陰には、ステファニーの忍耐強い支えがあったのです

ですから、私はとてもステファニーを尊敬していました。

彼女は言いました。

「ネイト(私の米国でのニックネーム)、なんであなたは何をやってもダメなのかわかる?」

「それがわかれば、苦労しないよ! ステファニーにはわかるの?」

「勿論よ! よーくわかるわ」

「え! 嘘だよ。わかるわけないでしょう?」

「簡単なことよ。あなたが、いつも『あれもない、これもない』と不平・不満ばかり言っているからよ。自分のことしか考えていない、『超』利己主義だからなのよ」

「そんなことないよ! ステファニーは僕のことまだよく知らないくせによく言うよ~」

「そりゃあ、あなたのすべてを知ってるわけじゃないけど、あなたが『ダメ人間』であり、利己主義者であることは、誰の目にも明らかよ」

「ひどいこと言うなあ! 親にもそんなこと言われたことないのに……」

「ちょっと待ちなさいよ。あなたのことを心配しているから、嫌われるのを覚悟で言っているのよ。どうでもよかったら、こんなに憎まれることをわざわざ言わないわよ。こんな損な役ないのよ! あなたのことを案じて、ここまで言っているのに……。少し謙虚になって、感謝ぐらいしなさいよ! だからいつまで経ってもダメなのよ!」


 私は悔しくて悔しくてしょうがありませんでした。まだ、会ってそんなに経っていないのに、その赤の他人から人間否定をするようなことを言われたのですから。

私の今までの人生はなんだったのでしょう?

しかし、しばらくして冷静になったら、どうしてそんなに悔しかったのか、わかったのです。それは、彼女の言う通りだったからです。

そう言えば、すっかり忘れていましたが、両親からも同じようなことを言われたことがありました。

それで、私は一大決心しました。

「もう、ダメ人間としての自分と決別しよう! そのためには、ステファニーが指摘するように、利己主義者から利他主義者になるぞ! そして、ないものを探して不平・不満を言う生き方を止め、あるものだけを見て感謝していく人生を歩もう!」と。

 そう決めて動き始めたら、自然とやる気が出てきたのでした。

既に自分にあるものを再認識し、人のために生きていった時、環境や周りの人に心から感謝できるようになれたのです!

それからです。私の人生が大きく大きく好転していったのは