食事のスピードの使い分け
できる人、本当に品格のある人というのは、状況また相手に応じて食べる速さ変えられます。基本的には会食では会話を楽しみながら、ゆっくり噛んでするのが、常識とされています。
しかし、それは時間があるときに限ってです。時間のないときに、そんなことをしていたら、相手はイライラするでしょうし、第一、食べ終わる前に、時間が来て残さなければならなくなります。
ですから、大事なことは、注文する前に、注文しようとしているものが、出てくるのにどのくらい時間があるのかを確認することです。
先日もある大企業の社長と出版社のアレンジで対談をしていたところ、終了時がお昼直前だったこともあり、その場でいきなり昼食の招待を受けました。もっとお話を伺いたかったので、喜んで招待を受けました。
それで会社近くにある社長行きつけの高給フレンチ・レストランに行くことになりました。
店に着いてメニューを見たところ、一品一品こと細かく説明しており、私にはよく理解できませんでした。ですので、メニューをほとんど見ずに、その社長と同じフルコースを右に倣えで注文しました。自称「食通」の彼と同じものを注文しておけば、時間的にも味の上でも無難だと判断したのです。
ところがです。待てども待てども、注文したフルコースの最初の品すら現れませんでした。出てきたのは、フランスパンだけです。
気になったので、メニューを再度見せてもらったところ、フルコースはその店自慢の最高級完全手作りとのこと。よくよく見てみたら、値段も目玉が飛び出るくらい高いのです。それもそのはず、こだわりの完全手作りということで、注文を受けてからすべて時間をかけての作っているのです。
恐ろしくなって、出てくる時間を聞いたところ、あと最低30分はかかるらしいのです。
私は青ざめました。要人と大事な面談のために、遅くとも30分後にはそのレストランを出なければなりません。とすると、コースがスタートするのは、早くても30分後ですから、最初の料理が出てきた瞬間に私は席を立たなければならないのです。
そんなことをしたら、せっかく美味しい高級フレンチを私にご馳走しようとして、誘って下さった社長に凄く失礼になります。
相手も、「それだったら、最初に言ってくれれば、もっと早く食事できるところを選んだのに。この人、経営コンサルタントの割には、気が利かないなあ!」などと思わせてしまうことでしょう。
せっかくの楽しいはずの会食が台無しです。
考えたあげく私は社長にお願いしました。
「誠に申し訳ございませんが、私はあと30分でここを出なければなりません。それで今回はフルコースではなく、すぐに出てくるものを再注文させて頂き、フルコースは次回お時間ある際にごいっしょにゆっくり頂くということでもよろいでしょうか? 丁度C社のD社長をご紹介したいと思っておりましたので、そのときはD社長も来て頂いてということで」
「あっ、あのD社長ですか? いやー、前々からお会いしたいと思っていたんですよ。浜口先生、お知り合いなんですね! いいですね~、ぜひお願いします。じゃあ、今日のところはスープとサラダ程度でいいじゃないですか」
それで、スープとサラダを至急出してももらい、無事30分以内に食事を終わらせ、レストランを出ることができました。
その社長は、ゆっくり食べることを大事にされていた方でしたが、私に時間がないことがわかると、ビックリするくらい速く食べられたのです。でも、全然下品ではなく、テキパキと、という感じです。