頼まれたらすぐやる


 昔から「何か頼むなら忙しい人に」とよく言われます。最初にこれを聞いたとき、まったく理解できませんでした。

 しかし、自分が忙しくなって初めてこれが真実であることがわかりました。

 忙しいと頼まれたらすぐにやらなければならなくなります。でなければ、結局できなくなるのです。なぜなら、すぐにやらなければ、後になればなるほど他のことで忙しくなるからです。

 忙しいということは、仕事ができる証拠なのです。できるから周りの人はどんどん仕事を頼んできます。ですから、次々と頼まれたことをスピーディーに処理します。もうすぐにやるしかないのです。

 また、仕事のできる人は、頼まれなくてもやるべきことは自分で見つけ、どんどんやっていきます。なので、たとえ頼まれたことが終わっても、暇にはなりません。自らがやるべきことを決め、こなすのです。

 若い頃の私は、忙しい人にばかり仕事の依頼がくるのを見て、「よりによって、そんな忙しい人にわざわざ頼まなくても。時間のある人にお願いすればいいのに!」と思っていました。

でも、自分が忙しくなってよくわかりました。暇な人はなぜ暇なのかを。

 要するに、暇な人というのは、仕事ができないのです。できないから、周りの人が仕事を頼んでこないのです。従って、いよいよ暇になります。

 どうせ暇なら、自分で仕事を見つけどんどんすればいいのです。が、暇な人はやる気もなく気転も利きませんから、自分から積極的に仕事をしようとはしません。


 職場には次の3種類の人間がいます。

(1) いてもらいたい人

(2) いてもいなくてもいい人

(3) いてもらいたくない人

ですが、暇な人というのは、頼まれてもすぐにやることができない人ですから、いても

いなくてもいい人か、いてもらいたくない人なのです。


 私も忙しいときほど仕事ができたことを痛感させられた経験があります。

 忙しいときほど、自分の仕事以外の頼まれたこともほぼすべてできていました。

しかし、暇なときはすぐにではなく、ついつい後でやろうとしていました。なぜなのだろうと真剣に考えてみたら、時間の問題ではなく、心の問題であることがわかりました。

つまり、忙しいといつも「すぐにやらなければできなくなってしまう!」との危機感を持っています。が、暇だと「今できそうもないから後でやろう。どうせ時間はいっぱいあるから」というふうにのんびり構えてしまうのです。まさに甘えであり、油断です。

今までを振り返ってみて、頼まれたことを一番できたときというのは、一番忙しかった時期だったようです。その頃は、超忙しかったため、頼まれたら「すぐに終わらせなければ!」というプレッシャーと使命感で、かなり緊張し、心して一挙にやろうとしました。緊張していますから、手際もいいのです。

忙しいことがいいことかどうかは議論の余地がありますが、私は体験を通して、暇よりはましだ思います。

 仕事をする人間にとって暇ほど辛いことも少ないからです。暇ということは、会社も組織も周りの人も、あなたのことを必要としていない証拠なのです。

 であるなら、どんどん自分で仕事見つけ、こなしていくぐらいの積極性ややる気は出していきたいものです。