今の仕事は天職?
今までピンとこなかったのに、ある時急に悟りや閃きで、従来の仕事が天職だと思い始めた人を何人か知っています。そのある時とは、その仕事を徹底的にやり抜き始めた時なのです。
そうなると面白いもので、目つきが変わり、その仕事をしている姿や顔がとても美しくなります。丁度、プロのスポーツ選手が、そのスポーツを行っているように。これは例外がなく、仕事を徹底してやれば、すべての人が経験できることです。
生き様が姿や顔に現れるのでしょう。凄いことです。
何事も中途半端にやっていれば、趣味としてはいいのかも知れませんが、職業としてはつまらないものです。そんなスタンスで仕事をしていても、天職とは感じられないでしょう。
既に説明しましたが、適職と天職は根本的に違います。
天職は天から授かった職ですから、本人にとっても周りの人にとっても、とても意義深いものです。
私は天職のキーワードは、「使命感」だと思います。本人がその仕事をすることで、使命を感じるかどうかです。「使命」とは、その人に特に与えられた任務を指します。
ですから、あなたが今の仕事に使命を感じるようになれば、もうその仕事はあなたにとって天職なのです。例えその仕事が、大きなことでなくても、重要なことでもなくてもです。決めるのはあなたです。
私は今の仕事を天職だと思っています。なぜなら、今の「国際経営コンサルタント」としての仕事を通して、私なりの使命があると感じるからです。その使命とは、一人でも多くの経営者、延いては関わるすべての人をビジネス面、また人生面での困難から助けたいとの願いがあるからです。
それは、実は私以外多くの人ができるとは思いますが、たぶん助けを求めている人の数は、助けたい人の数より多いはずです。ですから、私もその人手不足の分野でお役に立ちたいとの使命感を持っています。
仕事で使命感を持ったら、強いのです。プロとして、徹底的にその道を極めようとします。
天職の場合、もう好き嫌いを通り越して、あなたがやらなくてはならない仕事なのです。しかし、大変な意義があることですので、とてもとても大きなやりがいや生きがいも感じられるようになり、仕事を通じて幸せ感一杯になります。これが天職の所以です。
もっと凄いのは、天職は人のため、社会のためにやる意義があるので、やり始めたら自分の逆境やハンディキャップなど吹き飛ばすだけのバイタリティーが出てくるのです。
私は仕事のことで悩んでいる人がいたら、できるだけ早く会って、徹底的に相談に乗り、一緒に天職を見つけるようにします。
心理学としての学問は難しくて理論的過ぎて苦手なのですが、人と対話し同苦しながら激励する、つまり泥臭い現場における人生相談が私は大好きなのです。
この相談に乗る癖と技術は、実は小学校からどんどん身につけてきました。母が生命保険の外交(営業)をしており、毎日様々な人と会っていました。相手の、仕事が終わってからお会いしていましたので、会う時間は夕方以降でした。
小学生だった私もよくその場に連れて行かされ、隣で黙って話を聞いていたのです。そもそも生命保険に入ろうと考えている個人は、結構生活に行き詰っている人が多く、母は生命保険の商品を売るより、人生相談になってしまうことが多かったのです。
今から考えると、母は人生相談のプロでした。自身が身体的精神的等様々なハンディキャップを背って、乗り越え克服してきましたので、ほとんどどんな悩みに関してもアドバイスできていました。
母から激励を受けたり、悩みが解決できた人達は、喜んで生命保険に入っていきました。結果的に、母は営業成果もどんどん出していったのです。その光景を見ながら、小学生ながら毎回感動してました。
「なるほど、これぞ最強の営業方法なんだ!」と。
よくよく考えたら、保険の外交員という職業は、母の天職だったようです。本人も、その仕事に使命や生きがいを感じ、毎日が楽しいとよく言っていました。
知らず知らずのうちに、私も学校や塾で人の相談に乗り始め、気がついたら通っている小学校の先生や塾の先生の相談にも乗るようになっていました。相談に乗りながら、いつも不思議な思いでした。
「なぜ小学生で成績の悪い僕が、人生の大先輩である先生方への相談に乗れるのだろう?」と。でも、相手が相談に乗ってくれと頼んでくるのですから、拒む理由はありませんでした。私と話すことで、少しでも先生方が元気になってくれればとても嬉しかったのです。
さて、天職発見法ですが、私は、相手と話しているうちに結構相手の天職らしきものは見つけてしまいます。話していると、本人の口からその天職となる仕事のヒントが出てくるのです。
「天職を見つけたいために相談したい」という何千もの人に対しての私の相談経験から、彼らが今就いている仕事が、彼らの天職であることが意外に多いことに驚かされます。
実は気付いていないのは、当の本人なのですが。
でも、その仕事が天職かどうかを私が見分けるのは、そんなに難しいことではありません。私にとっては一言の質問に答えてもらえるだけで、直感的にその人の天職はわかってしまうのです。
「なんで今の仕事をしているのですか?」との質問です。
つまり、今の仕事をしている理由が、あなたの仕事に関する考え方・向き不向きなどすべてを物語っているのです。仕事に関する生き様や価値観とも説明できます。
よく考えてみてください。今の仕事は、実はあなたしかできないことをしていませんか? 勿論、アシスタントや代理できる人はいるでしょう。でも、上手くいっていようとダメであろうと、あなた特有のことをしていませんか?
あなた特有の仕事をしていれば、当然あなただからできるのです。であるならば、もうちょっと徹底して頑張ってやり抜けば、あなたのやり方でやった、あなた特有の成果が出るのです。