頼まれたら期日を聞いて必ず間に合わせる



 できる人は、頼まれたらすぐやろうとします。なぜなら、仕事ができるのを先輩や上司が知っているので、どんどん仕事を頼んできます。それで、更に多忙になるので、すぐやらないと将来もっとできなくなるからです。

 ただ、「急ぐ仕事を頼む時は、一番忙しい人に頼め」という昔からのルールから、どうしても仕事ができる忙しい人に仕事の依頼が集中します。それでも、その仕事のできる忙しい人はすぐにやるため、あっという間に依頼事項を処理します。


 前に米国で勤めていた世界最大級の国際会計・経営コンサルティング会社にいた時、上司だったアメリカ人、ビル・ヒビットさんがそんな人でした。当時若かったのですが、皆がどんどん彼に仕事を頼んできます。ヒビットさんは、どんなに忙しくても、その場で断わることはせず、まず依頼内容を聞きます。スケジュールが埋まっている時は、終了すべき期日をもらい、現実的にそれに間に合うと判断した場合、仕事を受けていました。ただ、実際には、受けた後、期日よりも必ず前に完成させていました。というのは、彼は一端仕事を受けると、徹夜をしてまで絶対に間に合わす、非常に自分に厳しい人でした。

 ヒビットさんは、ケンタッキー州立大学を出て同社に入社し、勤めながら大学院に行き、弁護士とCPA(公認会計士)の両方の資格を短期間で取得しました。入社当時から、モーレツに働き、仕事があまりに速いので、当時彼がいた国際部では一躍有名になったそうです。

確かにいっしょに仕事していて、信じられないくらい仕事の処理が速いので、ヒビットさんと比べて、私は自信喪失した時期もありました。ただ彼はアメリカ人の中でも特別で、「超人」であることを優秀なアメリカ人から聞いて、なんとか気を取り戻しました。

ヒビットさんが忙しい分、部下である私達も忙しくなります。彼が受けた仕事を部下皆で手分けして手伝わなければなりません。

彼の優れたところは、仕事が速いのは言うまでもありませんが、すぐにできない場合、必ず期日を聞き、間に合いそうだったら、仕事を受ける、つまり超現実派だったところです。 

そして、一度受けた仕事は、絶対に期日前に終わらせるのです。彼はその後、最年少で国際部のトップ、そして最短で役員になってしまいました。