「我即会社」「会社即我」の思いで

「我即会社」「会社即我」とは、ある用語からヒントを得た私なりの考え方です。ただ、自らの体験を通して組織の中で成功するためにはこの考え方は必要不可欠だと痛感しています。

 会社や組織を、キャリアステップや次に行くところが決まるまでの「腰掛の場」としか考えられない若手が増えています。私それは間違いだと思います。会社や組織とはあまり長くお付き合いしないのかも知れません。でも、大事な将来のための訓練を受ける場です。

 私も日本の大学を卒業して、国際会計・経営コンサルティング会社のニューヨーク本社で採用が決まった際、十年後、即ち三十二歳で「国際経営コンサルタント」として独立する目標を立てました。それは高校三年生の時からの夢でした。

 しかし、たとえいつかは辞めるであろう会社でも、私にとって専門能力と人間性を鍛える大切な修行の場であることは明らかでした。それがなければ、独立という次のステップに進めないのです。能力もないのに奇跡的に採用されたこともあり、組織に貢献するどころか、すぐにお荷物状態となりました。あまりにも能力がなく仕事もできないので、誰から見てもいつクビになってもおかしくない存在に私はなりました。

 何度も辞めようと思いました。皆さんも経験あるかも知れませんが、働いていて辛いのは、自分が職場でいらない存在になっているのがわかることです。特に当時働いていた会社は、プロ集団であり、成果主義・実力主義が徹底されていました。

 能力はさることながら、国際経営コンサルタントになるために必要な実力をつけるせっかくのチャンスであるので、自ら辞めないで、辞めさせられるまで一日でも長くその会社にいて学ぼうと決めました。

 組織のためになることなら何でもやりました。例えば、当時新米でしたので、営業をする必要はなかったのですが、顧客獲得で組織に貢献できることがわかり、どんどん新規顧客を獲得しました。それで、私が属していた部署はどんどん大きくなり、私もどんどん力をつけ評価されていきました。

自分のためにやろうとした時は全然結果が出なかったのですが、部署のために頑張り始めたら急に成果が出始めました。その時思ったのです。結果を出したかったら、組織と自分を一体と思って頑張ること。つまり「我即会社」「会社即我」です。