己の使命を自覚する



「使命を自覚した時、才能の芽は急速に伸びる」

 私が高校生の時に出会った大好きな言葉です。この言葉の真理は、後になって自らの体験を通して身に染みたのです。

 使命とはその人にしか果たせない重大な任務や役目をいいます。劣等生でダメ人間だった私が、この言葉と出会って考えさせられたのでした。

「僕にも使命ってあるのかなあ? こんなにバカで役立たずなのに……」

 もう一人の私がすぐさま答えました。

「お前なんかに使命なんてあるわけないだろう! バカだし何もできないんだから」

「そっか~ やっぱりなあ……」

 そして落ち込んで終りました。

 

 ところが、ある日その言葉を言った人に出会いました。そして、彼は私に向かって物凄い形相で言いました。

「後世畏るべしだよ!」

 その言葉だけを残して去って行きました。私には何がなんだかさっぱりわかりませんでした。

 それで、その方のことをよく知る人に聞きました。彼が言われたその言葉の意味を、です。彼は言いました。

「それは、君にも使命があり、その使命を自覚して全うするために努力した時、君は末恐ろしい存在になっていくことを言われたのだよ」

「は~ 本当ですか? まさか!」

 

 それから私は「国際経営コンサルタント」という天職でもあり、使命だと自覚できる職業に出会いました。その仕事を通じて、一人でも多くの世界中の経営者を手伝いたいと真剣に考えるようになったのです。

高校の卒業も危ぶまれた私なのに、ある「国際経営コンサルタント」との出会いによって、突然そんな突拍子もない夢を持ってしまいました。

その「国際経営コンサルタント」と行動を共にさせて頂いているうちに、その仕事が、私にはとても性に合うため、憧れるようになりました。

「こんな仕事を一生続けられたら、なんて楽しく素敵なんだろう!」と。

 なぜ、経営者のお手伝いをしたいかと言うと、もし、会社が潰れたら、経営者のみならず、そこで働く従業員とその家族、取引先や下請け業者、顧客、そして、株主や債権者等、関係者は全員困るのです。自殺する人まで出てきます。

 ですから、会社は何がなんでも潰してはいけないのです。潰れたら、会社が大きければ大きいほど、多くの犠牲者を出してしまいます。世界的な企業が潰れたら、とても悲惨です。世界中の多くの人の生活が奪われてしまいます。


 不思議なことに、それまでバカで何に対してもやる気になれないダメ人間だった私が、俄然頑張り始めたのです。まるで気違いになったかのように、です。

ギリギリで入れてもらった大学では、無遅刻・無欠席・無早退を通しました。授業も予習・復習を完璧にやり、4年分の単位も実質2年間で取得し、米国の経営大学院(ビジネス・スクール)に入るため、さっさと渡米したのでした。

 米国でも、一度はビジネス・スクールの受験に失敗し途方に暮れましたが、世界最大級の国際会計・経営コンサルティング会社に何とか潜り込み、ビジネス・スクールの修士・博士課程で学んだ後、念願であった「国際経営コンサルタント」として、米国で独立することができました。


 すべては、「使命を自覚した時、才能の芽は急速に伸びる」の言葉を信じて、ダメな自分に挑戦することから始まりました。

正直言って、その夢を追い始めた時は、やればやるほど、実現できる可能性が極めてゼロに近いことを思い知らされたのでした。

でも、「後世畏るべし」と言われ、大きな使命感を持ってからは、生涯挑戦し続ける決意ができたのです。そして、弱いはずの自分に徹底的に挑することで、どんどん強くなっていく自分を実感することができました。

使命を自覚すると、信じられないくらい強くなり、抜群の行動力がつきます。ですから、ぜひ自分しかできない好きなこと、充実感を得られることを見つけ、それに邁進してみて下さい。今まで見たことのない強い自分を発見することでしょう。