世のため人のため発想ルール

「たかだか勉強ごときで、世のため人のためなんておおげさでは?」と思われるかもしれません。

 しかし、勉強して伸びていく人、結果を出し続けられる人には、多かれ少なかれ「世のため人のため」という発想があります。

 また、同じ勉強をするにしても、単に合格のため、昇進のため、評価を得るためという自分のためだけに行うのと、最終的には世のため人のためになる自分になりたいがための訓練として行うのとでは、まったく頑張り具合が違ってくるでしょう。

ところで、ここでいう「世のため人のため」というのはどういうことかわかりますか?目先のことばかりを考えるのではなく、あなたの将来なりたい姿はどんなものか、またあなたがそうなることで、周りの人や世の中にどんな貢献ができるのかを指します。それを目指しイメージしていけば、今まではできなかった凄いやる気が出てきて、より学び頑張ることができます。

 私が接してきた人の中でも、この「世のため人のため」という思いで、学び生き抜いた人、また現在も生き続けている人がいます。国内では、松下電器産業の松下幸之助、京セラの稲盛和夫、ソフトバンクの孫正義、ワタミの渡邊美樹、また海外では、ウォルマートのサム・ウォルトン、メアリー・ケイ化粧品のメアリー・ケイ、ブリンカー・インターナショナルのノーマン・ブリンカー、デルのマイケル・デル、エドワード・デミング博士、ピーター・ドラッカー博士等々の諸氏です。いずれも、世界的な起業家や学者ですが、生き様を通して多くの人に影響を与えてきました。

 頭が悪く、とくに英語や国語が大の苦手だった私が、高校三年生の時に目指した「国際経営コンサルタント兼ビジネス作家になる」という夢を達成できたのは、そんな人になって世のため人のために尽くしたいと願ったからこそだからです。

 また、勉強ができず苦手だったのに、働きながら米国の経営大学院修士・博士課程を終えることができたのは、まさに「世のため人のため」の発想があったからなのです。ただ自分のためであれば、軟弱な私には、米国での過酷な勉強と仕事の両立にはとても耐えられなかったことでしょう。

能力も余裕もなかった私が「世のため人のため」の発想で将来の夢を決めたのは、実に簡単でした。努力し続けていたのになかなか成果がでないで悩んでいたときのことです。近所に住むあるおばさんから、たまたま元気のない姿を見られたので説明したら、世のため人のための発想で学び生きなければ、元来自己中心的な私が一生成功することはないと指摘されたのでした。

最初は、赤の他人の人の言うことでしたから、信じませんでしたが、おばさんのあまりの大確信に圧倒され、騙されたと思って実践してみたのです。するとどうでしょう! 少しずつ成果が出ると同時に、「世のため人のために生きることってなんて充実していて楽しいのだろう!」と、とても幸せを感じるようになったのです。また、そんな自分がとても誇らしげにも感じられるようになりました。それまでバカな自分のことや自分の言動が嫌でたまりませんでしたから、生きること自体が楽しくなったのでした。

それからというもの、勉強を始め何でも俄然頑張れるようになりました。

勉強して力をつけ、世のため人のために貢献できる人間になると決めると、辛く苦しい勉強も続けられることを、ぜひ自ら体験していただきたいと思います。