新聞利用術

 ビジネスパーソンが勉強するうえで、新聞ほどいいツールはないでしょう。世の中で起こっていることだけでなく、大事なことについては、補足説明や解説まで載せてくれているため、情報収集と知識を習得することができます。

 ただし、事件やニュースをただ読んでいるだけでは、「へー、そんなことがあったんだ」といった驚きや発見をするだけで終わってしまいます。これでは、あまり役に立ちません。

大切なのは、自分たちにどのような影響があるのか、今後、自分たちはどうなるのかなど、問題意識を持って読むことです。意識を持って読むだけで、記事から得られる印象はまったく違うものになるはずです。

また、常に意識を持つことで、記事の内容について絶えず考え分析するようになります。

 これはビジネスセンスを身に付けるための頭の体操・訓練となります。毎朝新聞を読むたびに訓練されるわけですから、どんどんビジネスセンスが磨かれていきます。

ビジネスセンスはそう簡単に身に付くものではありませんから、この方法はとてもオススメです。いざというとき、新鮮な発言やシャープなプレゼンができたり、ビジネスにおける様々なシーンで活かされたりすることでしょう。

 よく言われることではありますが、ここで一つアドバイスがあります。暇でやることがない人、新聞が好きで好きで仕方がない人は例外ですが、通常の場合、新聞はスミからスミまで読んではいけません。読み始めたらきりがなくなってしまい、時間も相当ロスするからです。

 新聞はあくまでも、最新情報を入手するためのツール。読みものではありません。ですから、今入手しなければならない情報に関係する記事や新しい出来事・事件を集中的に見ていけばよいのです。

 具体的には、まず各見出しを速読します。それも自分が関わりのあるページに絞り込んで、です。

 私の場合、日本経済新聞であれば、トップ記事のある1面、総合・政治関連の2・3面は、速読ながらじっくり見ます。それからビジネスパーソンであれば、5面(経済)7(金融)は外せません。更に、近年では国際的なことが経済に大きな影響を及ぼしますので、8・9面(国際)。また経営コンサルタントをしていることから、見逃せないのは、11

~19面(企業・ベンチャー・投資・財務・マーケット)です。

 日本経済新聞は、通常44面前後ありますから、前半の記事は私のようなビジネスの世界に生きる者としては、気になる見出しやキーワードを見つけたら、記事の内容のポイントを素早く理解するようにします。

 それと雑誌や本の広告も大切です。その時々の流行やキーワードが出ています。それらを研究することは、企画や提案のセンスを磨くのにもってこいなのです。

 また、できるだけ多くのメジャーな新聞に目を通すこともオススメします。なぜなら、その出来事の取り上げ方を見比べることで、見えてくることもいろいろあるからです。

たとえば、メジャーな新聞で同じように取り上げられているニュースは、私たちにとってとても大事であり、その時(代)を代表する出来事・事件であることを表わしています。

 

記事をしっかり読み、考え分析することによって、世の中のトレンドが見えてくるものです。トレンドがわかれば、自分が次に何をすべきかわかってくるはずです。

 新聞を活用しましょう。

 最近新聞を読まず、ネットで流し読みする人、特に若者が増えています。私も時々ネットでもニュースなどをチェックします。そんなことで、読むなら紙ベースとネットとのどちらがいいかをよく聞かれます。

ネットだと興味のあることだけを見がちで、紙ベースだと社会全体を把握しやすい一方、ネットで興味のあるニュースを見るのも効率的でよいなど、それぞれ賛否両論はあります。両方を利用している私としては、新聞が手に入らないときや、ネットで読んだ方が早い環境にいるときは、ネットを利用しますが、基本的には短時間で全体をバランスよく把握できる紙ベースの情報の方が、日々の勉強には効率的のようです。ただ、好き嫌いと費用もからんできますので、どちらにするかは、皆さんが決めることです。

ただ、多少の犠牲を払っても、勉強になる方を選ぶべきでしょう。勉強のための先行投資は、お金がかかっても、どんどんやるべきだと思います。お金がかかればかかるほど、真剣に続ける確率は高まります。