秘書A「また、ネイト(私のニックネーム)は同じスーツを着ているのね……。今日はあなたの誕生日でしょ。私たち秘書全員からのプレゼントよ」

 突然、母親ほどの歳である上司の秘書から、誕生日プレゼントを差し出された。

  私「え! これ新しいスーツじゃないですか!」

秘書A「そうよ。ネイトが入社してもう二カ月も経っているのに、いまだに毎日同じスーツを着続けているから、私たち秘書が話し合ってプレゼントを買ったのよ」

  私「こっ、こんな高価なものをいただいていいんですか?」

秘書A「大丈夫よ。この階の全秘書24人でお金出し合ったから」

  私「ぜっ、全秘書! すみません。でもなんで全員で? 僕と関係のない部署の人ばかりなのに?」

秘書A「ネイト知ってる? いつもあなたが同じスーツを着ているから、皆で心配していたのよ。きっと日本から来たばかりの新卒だからスーツを買うお金もないんだろうって。でもね、あなたはそれで我慢できるかもしれないけど、お客様はどう感じると思う? 一流のプロフェッショナル・ファームに高いコンサルティング料を払って仕事を頼んでいるのに、担当者が貧乏ったらしく毎日同じ格好で出てきたら? それこそ『こんな二流プロフェッショナルに仕事をやらせていて、この会社大丈夫?』って、会社の評価まで落とすでしょ」

  私「そうですか……。わかりました、みなさんのお気持ちをいただきます。それでは近々に、親から借金をしてでも新しいスーツを何着か買います」

秘書A「そうよ、あなたは人に好印象を与えられるいい内面を持っているのだから、清潔感溢れるいい外面作りもしなきゃ。そして、頑張って早く昇給させてもらいなさい」


 入社したばかりの私は、仕事を覚えるのに必死で、周りの人に好印象を与える外見作りをまったく考えていなかった。しかし、それから皆に好かれる身だしなみ作りに徹したのだった。

 効果は早かった。すぐにお客様から言われたのだ。

「これで心身共にプロフェッショナルですね!」と。