一流の人は皆謙虚だ。人間的にも立派。一人前の社員である前に、社会人としても優れている。お世話になっている人や周りの人のことを絶えず考えて発言し行動する。
会社や組織に少しでも良くなってもらいたいと本気で思っている。だから、会社や組織に必要なことはなんでもする。単純作業でも雑用でもなんでも。
逆に「三流社員」「ダメ社員」ほど変なプライドを持っていて、バカになって動くことができない。「それは私の担当ではありません」「そんなことは、新人にでもやらせておけばいいでしょう」などと言う人が職場にいたら、「ダメ社員」の代表格だから要注意である。
「雑用ほど仕事の本質が学べることはない!」「雑用も会社にとっては大事な仕事だ。なぜなら、誰かがやらなければ仕事は完結しないし、会社として成り立たなくなるからだ」
以前勤めていた会社のアメリカ人の上司の口癖だった。彼は、アッと言う間にスピード出世した。一流大学を出たわけでもないのに、10万人のプロフェッショナルがいる大手コンサルティング会社のナンバー2にまで一気に駆け上がっていった。異例中の異例の速さで。
一言で彼を語ると「大人格者」。いっしょに働いていた頃も、上司でありながら平気でさっさと雑用をこなしていた。恐縮した私は、いつも彼が雑用を始めないようにするのに必死になった。
私のほうが先に見つけられるように、絶えず問題意識を持って彼の周りに気配りせざるを得なくなった。しかし、気配りは私の数段上の人なので、職場にいると雑用を見つければすぐに私が気づく前にやってしまう。そうなってくると、もう戦いのようなものだ。しかし、お陰で雑用に対する気配りはかなりできるようになったようだ。今では小さいながらも会社経営をしているが、職場に行くと自然に隅々まで目がいってしまう。
「『できる上司』である前に、『できる社員』であれ! 『できる社員』である前に『節度ある一人前の社会人』たれ!」
私が将来独立するのを知っていた彼は、仕事でミスや失敗をするたびに、この言葉で叱咤してくれた。
彼は若い頃上司たちから「ミスター便利屋」と呼ばれていたそうだ。彼のような人を部下に持ったら、上司はどれほど助かることか。また、職場にいたら、どれだけ周りの人に感謝されることか。彼のような存在は、とても心強い。
どんな仕事も大事であることを、彼は身をもって証明してくれた。上司がそうであったから、ある種のいい緊張感が絶えず職場にはあった。