どんな仕事でも必ず何かを売らなければならない状況に出くわす。営業担当ならなおさらだ。

「何言っているんだ。私は営業職ではないから、何も売る必要はないよ!」

 確かに営業の仕事をしていなければ、頻繁に売らなくても済むだろう。しかし、仕事をしている限り、あなたは誰かに何かを売らなければならない。それは必ずしも、商品やサービスではない。

 たとえば、社内での企画や提案は、上司や他の社員にそれを採用してもらえるよう、上手く説明・説得し、あなたの案を受け入れてもらわなければならない。

 また、ときどき上司に自分の仕事ぶりを直接的または間接的にアピールして、理解・評価してもらわなければならないのだ。

 したがって、どんな立場であっても、仕事をしている限り、あなたは何かを売らなければならない。

 何かを売らなければならなくなると、ほとんどの人が間違えることがある。そのものを売ろうとするのだ。

「売ることの達人」だった昔のアメリカ人上司から教わったことだが、「何かを売りたければ、まず自分を売るべき」なのだ。さらに自分そのものよりも、人間性を売る。この人といっしょにビジネス・仕事をしたいと思わせる。

 あなたは、信用できない相手、または好きでない相手から、何かを買ったり、採用したりするだろうか?

 買ってもらう、また採用してもらうことの基本かつ秘訣は、まずあなた自身の人間性を知ってもらうこと。そして、評価してもらい、好きになってもらうことなのだ。

 人間性を好きになってもらえたら、時間はかかるかもしれないが、いつか必ず買ってもらえたり、採用してもらえたりする。

 人間性を売るためには、普段から人間性を高める努力をしなければならない。人間性が高くなければ、売ることができないから。

 人間性を高める近道は、世のため人のために生き、仕事をすることだ。