そのとき、昔母がよく言っていた言葉が蘇った。

「人間は、所詮感情の動物。だから理屈では動かない。とにかく周りの人から好かれないと何事もうまくいかないのよ! あなたは頭が悪いんだから、その分周りの人から好かれ、可愛がってもらえるようにならないと、成功できないのよ」

 母も私と同様、お世辞にもできる人とは言えなかった。しかし、大手保険会社で保険の外交員(セールス・レディー)をしていて、毎年、トップクラスの営業成績を残していたのだ。

 私にはそれが信じられなかった。が、母の得意なのは、何か人からしてもらったら、大げさなほど感謝しまくることだった。今から考えると、だから母は周りの人から人気者となり、できないはずの仕事でも、ものすごく応援してもらって、いつも大きな成果を出していたのだ。

 それで母のように、周りの人への感謝の意を表しまくっていったら、気がついたら、スピード出世して、一年半で課長、三年目に部長になっていた。

「感謝の威力はすごい!」の一言に尽きる。