私は、それからどうしたら「国際経営コンサルタント」になれるかを、徹底的に調べまくった。
ところが、まったく情報を得られなかった。それもそのはず、そんな職業は、わが国ではまだ一般的には成立していなかったのだから。
そこで、意を決して「国際経営コンサルタント」であるY氏に相談した。
「我々の主な仕事は、国際的なビジネスのお手伝いをすることなんだ。だから、ビジネスの世界では国際語である英語が話せるのは当たり前で、その上、さらに国際的なビジネス知識がないとダメだ。特に、世界のビジネスの中心地であるアメリカのビジネス知識がね」
「でも国際経営コンサルタントになりたいのです。今後、どうしたらいいのでしょうか?」
「そうだな。まず、アメリカの大学に行くことを勧めるね」
「はい、そうします! でも、入るためにはどうしたらいいのでしょうか?」
「外国人がアメリカの大学に入学するためには、TOEFLで500点以上はとらないとダメだよ」
「はあ…。でも先生、なんですか、その『トーフ』というのは?」
「『トーフ』じゃないよ。T・O・E・F・Lと書いて、『トーフル』って呼ぶんだよ。英語を母国語としない人のための英語試験のことだよ。一度受けてみてごらん。それから、君は高校三年生だから、高校の成績も問われるよ。今までの成績はどう?」
「すみません。最悪です。5段階評価で、ほとんど1か2です」
「それじゃあ、無理だ。頼みこんで入れたとしても、その成績じゃあ入れてもらえそうなところは、『超』三流校だろうからね。そんな大学を出ても、エリートばかりのアメリカのコンサルティング会社にはまず入れないだろうし、万が一採用されたとしても、まったく通用しないだろうね」
「え~。それでは、私は先生のような『国際経営コンサルタント』には、もうなれないということでしょうか?」
「……う~ん、厳しいけど、まだ方法はある。どこでもいいから、日本の大学に潜りこみ、ガリ勉をして、『優』ばかりとりまくることだよ。そしたら、アメリカのビジネス・スクールに行ってMBAをとればいいから」
「またまた、すみません。『ビジネス・スクール』って、日本でいうビジネスの専門学校のことですか?」
「違う違う。大学を卒業した後、進学する大学院のことだよ。ビジネスの分野は、他の専攻と違って、『経営大学院』と言って、特別にプロの経営管理者を養成する大学院があるんだ。プロフェッショナル・スクールとも呼ばれているけどね」
「わかりました。ところで先ほど出てきた『MBA』ってなんですか?」
「なんにも知らないんだね。まあ、高校生だから知っているほうが、珍しいか。無事ビジネス・スクールを卒業できると、MBA、つまり経営管理学修士号が取得できる。それで一流のコンサルティング会社に就職しやすくなるのだよ。ビジネス・スクールでなんとかいい成績をとって、コンサルティング会社に入ってから、プロのコンサルタントとしての経験を積むんだ」
こうして、高校の成績が悪過ぎたのと、あまりにも英語力がなかったために、アメリカの大学にはとても、もぐりこむ余地がないのがわかった私は、「ビジネス・スクールを出て、一流のコンサルティング会社に勤めて修業する」という目標を目指すことになった。
その裏には、「一流の国際経営コンサルタントになるぞ!」という夢があった。
人生を振り返ってみるとつくづく思う。絶対に実現したい夢や目標を持ち、諦めずに努力し続けていると、人間は不思議とどんどん力が湧いてくるものだと。
だから、みなさんもまず、夢を持ってほしい。夢さえあれば、諦めなければ、死ぬまで夢を追い、頑張り続けられるから。