本は週に五、六冊、年間三百冊ぐらい読んでいます。偉人伝や哲学的、人生論的な本が多いですね。忙しくなければ一日一冊は必ず読みます。

 読むといっても最初から最後まで読むわけではなく、目次を見て、自分が学びたい項目を探して、そこを徹底的に読むのです。インターネットでは、バラバラな情報しかありませんが、本には著者が長年に渡って積み上げてきた知識と経験が詰まっていますから本当に勉強になります。

 それと同時に、いつも心を支えてくれる本をもつことも大事です。私も迷ったとき、悩みを抱えたときなどは、それらを読んで力をもらっています。次にご紹介するのは、かつて私を励まし背中を押してくれた本たちです。

『男子の本懐』城山三郎(著)

 金解禁を実施した当時の首相、浜口雄幸が、自分の哲学を押し通して命懸けで政治をやっている姿が描かれています。

 この本を独立したばかりのときに読んで、非常に感銘を受けました。経営は儲けるためだけにするのではなく、世のため人のためという自分なりの哲学をもちながら、新しいことにどんどん挑戦することの決意を固めさせてくれた本です。

『道をひらく』松下幸之助(著)

 どんなに偉くなっても、素直な心でやっていくことの大切さをとことん説いた本です。人生を道にたとえて、松下氏は教えてくれます。

 「それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる」と。行き詰まっていたとき、道をひらくために、まず進むことの大切さを思い起こさせてくれました。

『道は開ける』デール・カーネギー(著)

 諦めなければ必ず道は開けることを説いた本です。高い志をもってやり続けることの大切さを伝えてくれます。これは定期的に読んでいます。何らかの壁にぶつかったときに読み返すことが多いです。

『プロフェッショナルの条件』ピーター・F・ドラッカー(著)

 「どうすれば一流の仕事ができるか」を説いた本です。結論は世のために人のためにすることが、本当のプロフェッショナルであると言っています。コンサルティング会社に勤めていたときに、行き詰まったときに原文をちょくちょく読んでいました。

 特に心に残っている言葉は、「あらゆる活動にはリスクが伴う。しかも昨日を守ること、すなわちイノベーションを行わないことのほうが、明日をつくることよりも大きなリスクを伴う」。

 つまり、進化し続けることがリスクを軽減し、成功へと導いてくれるのです。

 もう一度読み直してみると、以前読んだときとは違う深い発見ができる本です。読めば読むほど味が出てきます。

『生き方』稲盛和夫(著)

 これは多くの経営者が読んでいる本です。なかでも、次の言葉が心に残っています。

 「一生懸命働くこと、感謝の心を忘れないこと、善き思い、正しい行いに努めること、素直な反省心でいつも自分を律すること、日々の暮らしの中で心を磨き、人格を高めつづけること。すなわち、そのような当たり前のことを一生懸命行っていくことに、まさに生きる意義があるし、それ以外に、人間としての『生き方』はないように思います」

 人間は何かと迷う生き物です。本当は頭の中に自分なりの答えを持っているので、それを肯定してほしくて本を開いてしまうのです。この本を読むと、自分の「世のため人のために」という発想を肯定できます。

 やはり、ビジネスの世界は食うか食われるかですから、慈善事業をするわけにはいきません。ときには、清濁併せ呑むような矛盾が生じてくるのです。

 こうした壁を乗り越える例や考え方がしっかり説かれています。ですから再度読むことで、やはり私の哲学である、「世のため人のためになる生き方」を選ぼう、という決断をさせてくれます。原点に立ち返らせてくれる心の書です。