私は超大物と会うときは、その人がプラスになる情報を持っていったり、人を紹介したりしています。

 当時、ソニーの社長だった出井伸之さんと、あるパーティーでお会いすることになったときも、事前に出井さんが欲しがるであろう情報を調べておきました。

 いろいろな人にソニーについて尋ねて、特に会社経営における課題をピックアップしていきました。

 すると、アニメーションやキャラクタービジネスを展開したがっていることがわかったので、その分野に関する情報をたくさん仕入れておきました。

 会場で出井さんに会った瞬間に名刺を手渡したんですが、「ああ、どうもどうも」と言うだけで、私の後ろにいる大物の知り合いに目が行っていました。

 「前々からソニーの経営戦略について勉強させていただいております。今ソニーがソフト、特にアニメーションやキャラクタービジネスに力を入れようとしていらっしゃるのをよく存じ上げています。私の友人で○○というソフトのビジネスをやっていて、ぜひソニーと提携したいという者がおります」

 そこで私は、会ってすぐにビジネスの説明をしたんです。しかもズバッと結論から入りました。

 すると、出井さんの目の色が変わりました。

 「もっと具体的に言っていただけますか?」

 それからずっと質問攻めです。

 「後日、またその方を連れてご紹介したいんですが」

 と話すと、出井さんはすぐ近くの秘書に「彼から連絡があるから、連絡があったらアポを入れるように」と指示されていました。

 人と会うときは事前情報が大きな武器となります。特に大物に関する情報は公開されています。そうした情報を分析し、相手が一番困っている点にフォーカスすれば、どんな大物とでも、人間関係を築く接点ができるのです。