私は上司から叱責を受ける機会がとても多かったと思います。業務中はもとより、酒の席でも「おまえはダメだ!」「ミスが多過ぎる!」などと怒られるのです。こうした叱責に対して基本的には口答えしないのですが、自分自身、納得できない点に関しては上司にヒアリングするようにしていました。

 自分では、他の人のほうがもっとミスが多いと思っているわけです。なのに、なぜ自分だけミスが多いと指摘されるのかわからない。私はこうした感情を素直に吐露し、叱られる理由を上司に尋ねました。

 そのとき上司に、「大事なところでミスをするな」と言われました。

 基本的に、どんな仕事にもミスは許されません。しかし、やり直しのきくミスと、そうではないミスがあります。大事なところでのミスは、それを取り返すのに膨大な時間を費やすことになります。

 ある書類を上司に提出したときのことです。書類に記載されている「計算のチェック」以外はほとんど完璧でした。見やすいレイアウトに工夫し、書類を留めるホチキスの位置も完璧だったと思います。自分自身、細かな仕事にとてもこだわりを持っていましたから。

 しかし、計算が間違っていた。

 上司からすると、ホチキスを留める位置は、それほど大事ではないわけです。どうでもいいというと言い過ぎかもしれませんが、多少、見栄えが悪くても許される部分だし、いざとなれば留め直せばいい。でも計算を間違えていたら、全部の計算をもう一度、やり直さなければなりません。

 そのミスによって、どれだけ人的、時間的な損失を被るのか。そこまでしっかりと考えて、一つひとつの仕事をこなさなければならない。ミスにも優先順位がある。

 私は上司の目ではなく、自分の視点でミスの優先順位を判断していたため、上司から叱責を受けていたのです。