一見、簡単なようで、会社全体の利益を優先することはとても難しいでしょう。一部署の平社員であれば、自分の仕事に対する結果を何よりも優先させるはずです。ある部署のリーダーであれば、自分の部署の成績に神経を尖らせます。

 社員はそれぞれの地位に基づいて、求められる結果、与えられる責任が異なります。したがって、その範囲内で最善を尽くすのは、ある意味、当然なこととも言えます。

 しかし、こうしたテリトリー意識があまりに強くなり過ぎると、様々な弊害が生まれます。

 たとえば、同じ会社内で各部署の顧客を取り合ったり、同じようなプロジェクトが進行しているときに自部署の進行状況をすべて極秘にしたりするのです。

 他部署の顧客を奪えば、たしかに、その部署内では売上、利益が上がります。秘密裏にプロジェクトを進めれば、自部署で開発した技術的なノウハウなどを独占することができます。

 しかし、こうした行動は会社全体から見れば極めて大きな損失です。

 顧客を奪われた部署は、間違いなく売上が落ちるでしょう。

 会社の資金を使ってプロジェクトを進めているのに、そこで開発されたノウハウが他部署で得られなくなれば、会社全体からすれば、技術開発のスピードが著しく低下することになります。

 今、このような部署間の争いを続けているようでは、競合他社との厳しい戦いに勝てません。個人の力、部署間の力が相乗効果を生み出したとき、会社は最大のパワーを得られます。「1+1」が無限大になっていくのです。

 ですから、全社員が「全体最適」という視点を身につけ、一つひとつの仕事を大局的に考える重要性がますます増しています。自分に与えられた仕事の範囲にしか目が届かないと、「いくら頑張っても評価されない」というケースも出てくるはずです。