できる社員には「会社に利益をもたらすぞ!」という意識が自然と働いている。一日も早く会社を支えられるメンバーになりたいという独立独歩の精神が伺える。
利益意識をもった人とそうでない人とは、言動がかなり違ってくる。会社側からすると、それが明確にわかる。
利益意識のある人は、会社の物を大切にし、できるだけお金をかけず節約して、成果を出そうとする。その姿勢を上司は評価する。
反対に、利益の意識のない人は、コピーでも電話でも無駄に使う。効率や効果を考えない。だから、会社側からするとルーズな社員として見える。
どちらが出世できるか明らかだろう。
昔、徹底した利益意識を持った新入社員が入ってきた。新入社員だから、すぐに稼げないのはしょうがないとどこの会社に理解はしているはず。我が社でも同じだ。
営業担当になった彼は、さすがに新人であるから、成績がまったく上らなかった。当然と言えば当然だ。私としては、将来のための研修のつもりで、営業につけただけだった。
しかし、彼は給料日の時に、私に詰め寄った。
「社長、僕は会社に入社以来まったく営業成績を残しておりません。ですから、営業が決まるまで、絶対に給料を受け取れません。いや、受け取る資格がないと思います」
それで、せっかく彼の銀行口座に振り込んだ給料を会社に銀行口座に振り込み返してきたのだった。さすがに他の社員の手前、私は困った。もし、そんなことを会社のルールにしてしまえば、新人全員は給料がゼロになってしまう。
彼には頼み込んだ。
「気持ちはありがたい。でも、そんなことしたら、うちは労働基準法に引っかかって、問題になるから。第一、今は研修期間なんだから、将来結果を出してくれれがいいよ」
「でも社長! 僕の同期の友人は、他社ですぐに営業を担当していて、成果が出なければ給料なしだって言っていました。うちは、そんなに甘くていいのでしょうか?」
結果的には、彼には何とか固定給の半分を頼み込んで、受け取ってもらった。その時のとても申し訳なさそうだった彼の顔を今での忘れられない。3年間うちで働いた後、彼は突然倒れた父親の会社を継ぎ、社長として会社を父親の代の3倍も大きくした。やはり、利益意識をもった人は、どこに行っても通用すると実感した次第だ。