何事も具体的に捉えるということは難しいものがある。
人間は放っておいたら、ついつい抽象的に物事を考えがちになる。その方がボーとしてられて楽だからだろう。
物事を具体的にしようとすると、かなり考えなければならないので、エネルギーがいる。
「木を見て森を見ず」ではないが、大まかに全体を捉えることも大事だが、それをいかに具体的なレベルまで落とし込むかが、もっと重要だ。
仕事を通じて学んだことだが、会話においても、仕事においても具体例を入れることが前向きに進める上でポイントとなる。そうでないと、なかなか正確に物事が伝わらないし、いつまで経っても前に進めない。また抽象的なことをいくら語り合っても、結論は出ない。
具体的な話をして、初めて前進できる。その場合大切なのは、まず結論から先に述べるということだ。
私の上司の場合、話は一分以内でするというルールを作っていた。一分あれば十分複雑なことまで伝えられる。できないのは、話し手が言いたいことを把握していないためという論理からだ。
結論から先に伝え、その結論をサポートするポイントを絞り込んで追加説明する。そこに具体例を入れたら、よりわかりやすくなり、30秒くらいで話は終わる。
この単純なコミュニケーション上のルールが守れない人は、職場で、特に上司とのコミュニケーションンが取れなくなっていく。
終いに、上司に報告するのが億劫になってくる。上司とのコミュニケーションで葛藤するからだ。それでは、社会人とはいえない。
もう一つ、具体的に仕事をすることの重要性を指摘する。
会議や打ち合わせでは、抽象的な話というのは割と出しやすいことから、盛り上がる。ただ現実には、参加者の意思がなかなか噛み合っておらず、自分勝手に想像し議論して終る。
そして、いざ具体的な話になると、参加者の意見がまったく違うのに気付く。いわゆる総論賛成、各論反対ということだ。
これではいくら経っても、充実した意義深い会議や仕事はできない。やはり、具体的な仕事をすれば、具体的な答えが返ってくるものだ。
とにかく何事も具体的にするべきだろう。しっかりと結果が分かるようにするために。そうすれば、要らぬ誤解も減り、スムーズに仕事が進むようになる。
新人だった頃、発言する度に上司から叱られた。
「君の話は長過ぎる。質問するなら、1分以内にしなさい!」
「何を言わんとしているのか、まったくわからない! 結論から先に言ってくれ!」
「指摘していることはわかった。だが、なぜ問題なのか論理的に簡潔に説明してくれ」
「話が抽象的過ぎて、よくわからない! 例を使うなりして、もっと具体的に言ってくれないか!」
こんなことを言われ続けていた。それも話をする度に何度も何度も、だ。
お陰で、ビジネスライク、つまり端的にポイントをついて話す癖がついた。だから、今ではその頃の上司に、とても感謝している。話し方にメリハリがついたのは、彼の厳しい訓練の賜物だ。
今では私が弊社の新人に対して、同じような訓練をしている。丁度私もそうだったが、その方が、彼らのためになるからだ。