仕事では誰しも失敗やミスをするものだ。それは何も新人に限ったことではない。
ベテラン社員でも頻繁に失敗やミスをする人もいる。失敗やミスの程度こそ差はあれ、仕事において失敗やミスはなかなか避けられないもの。
大事なことは、失敗やミスをした際、いかにうまく対処するか、だ。
では、実際にどうしたらいいのか?
これから紹介する方法は私の上司から学んだもの。
たとえば、取引先が機嫌悪そうな態度をとっていたとする。こちらが小さくなってウジウジしていると、余計に相手を怒らせる。もちろん、こちらが失敗やミスをしてしまったわけだから、失敗は失敗、ミスはミス。まず素直に認める必要がある。
重要なのは、その謝る態度だ。言い訳は一切せず、誠心誠意深々と謝ることだ。声も大きからず小さからずに。
大き過ぎると開き直って聞こえる。ただ、小さ過ぎると、単に拒絶反応を起こしていて本当に心から反省しているようには受け取れないこともあるので要注意。
とにかく誠心誠意対応すると、相手も
「何をするにも人間がやる以上、失敗やミスは避けられない。これだけ誠心誠意で謝ってくれているから、もういいっかー」
と、許してくれるもの。逆に、ウジウジしていると逆効果。
「この人は本当に真剣だったのかなあ? 実は何か後ろめたいことでもやっていたのでは?」と、半信半疑に。
だから、失敗やミスしたときに大事なのは、誠心誠意の言動は当然なのだが、謙虚であると同時に毅然と対応すること。そうすると、相手に対しても安心感を与えることができるのだ。
失敗やミスした時こそ、その人の人間としての真価が問われていることを忘れてはいけない。
殆どの人は、言い訳ばかり並べる。言い訳は、その逃げの姿勢を相手に見抜かれるばかりか、相手を不快にさせる。責任転嫁しているようで、相手を怒らせることもしばしばある。
そうならないように、しっかりと腹を決めた大人の対応をしたいものだ。
人間のすることに完璧はない。
だからといって、失敗やミスをしていいと言っているのではない。細心の注意を払うことは大前提。また油断は大敵だ。
新入社員の頃、失敗とミスの連続の毎日だった。
周りの先輩からは「新人とはいえ、よくもまあ、こんなによく失敗とミスを繰り返すなあ……」と、飽きられていた。
自分なりに失敗やミスをしないよう、必死で注意深くやっていたつもりだった。しかし、いつも緊張しているわけにはいかない。たまたまちょっと気を抜いたら、それが失敗やミスの原因に。
最初は〈本当に注意散漫で、人間として欠陥があるのではないか〉と真剣に悩んだ。また、特に注意力を必要とする業界にいるから、自分にはその仕事が向いていないのではないかとさえ思い始めた。
ただ、そこで大きな間違いをしていた。
それは、失敗やミスをすること自体がダメだと思っていたこと。実は失敗やミスは、場合によっては、歓迎すべきことなのだ。
そのことに気付かせてくれたのが、アメリカ人上司だった。
「同じことで失敗やミスを繰り返しているわけでなかったら、失敗やミスは実はいいことなんだよ」
「え! 何でですか?」
「だって、自分が楽にできること、慣れていることばかりやっていたら、手馴れているから失敗やミスはしないでしょう。失敗やミスをするということは、慣れないこと、つまり新しいことに挑戦している証拠だよ。だから、『失敗やミスを恐れず、どんどん新しいことに挑戦しなさい! 新しいことに挑戦したために犯した失敗やミスは大いに結構だ』と私は、部下に言い続けてきた」
「なるほど。それでは、実際に失敗やミスをしたら、どうしたらいいのでしょう?」
「言い訳など一切せず、すぐに関係者に知らせた上で誠心誠意謝ることだよ。つまり誠意と謝意を表すしかないでしょう」