「先輩や上司を敬う風土がない組織は、時間の問題で崩壊する」




 先輩や上司を敬うことは、組織人としての基本中の基本です。個人的な好き嫌いの問題ではありません。

先輩と後輩、上司と部下の関係をしっかり認識し、自分より経験や知識が豊富な人たちを敬うことは、組織全体を大事にすることにつながります。健全な組織にはこうした健全な上下関係が築かれているものです。

先輩や上司を敬えない人は、自分がその立場になったとき、後輩や部下から敬われないでしょう。これを「原因結果の法則」とか「因果の理法」といいます。

もし、会社にそうした風土がないとしたら、努力して先輩や上司を立て、少しずつ雰囲気を変えていかなければなりません。それができなければ、組織はアッと言う間に壊滅しますから。

 伸びる人は、先輩や上司を立てます。それで徹底的にいいところを学び真似をします。だからどんどん成長していくのです。伸びる会社にはそんな人が多いのです。


 昔、急成長していた会社がありました。誰もはその会社が上場できることを疑いませんでした。

 たまたまその会社に行くことになり、せっかくなのでじっくり観察させて頂くことにしました。そうしたら、驚くべき光景を目の当たりにしました。後輩が先輩や上司を軽視したような言動が目立ったのです。その会社には厳格な上下関係が存在していませんでした。

 私は、その場にいることがとても居心地悪く感じ、予定より早く帰りました。それを上司に報告したところ、上司は言いました。

「その会社は潰れるな」と。

 彼の予想通り、その会社は、約一年後倒産してしまいました。理由は、要になる大事な社員たちが集団で辞めたことでした。

 よくよく考えてみたら当然だと思いました。私がその会社で働いていたら、すぐに辞めたからです。やはり、上下関係がしっかりしていない組織では、働きにくいものです。