「『できません』と言った瞬間、できるかも知れないことも本当にできなくなる」




「できません」「不可能です」「無理です」。

私の会社ではこの三つの言葉を使用禁止にしています。

伸びる人、成果を出す人は、この三つの言葉は決して使わず、まずバカになってチャレンジします。そして、できなかったときに初めて助言や応援を求めてきます。

ごく簡単なことを除き、最初からうまくできる仕事なんてありません。

チャレンジをすることで力がつき、その過程の中で悩み葛藤するからこそ、人間的にも成長ができます。つまり、できることだけ受けていたら、能力的にも人間的にも成長できません。ですから、難しいことにもどんどん挑戦していきましょう。


 米国にいたある時、テキサス州のダラスにあった弊社に、コンサルタントとして働きたいという三十過ぎの男性から手紙を受け取りました。早速面接をしたところ、ビジネスマンに必要な経験や知識がまったくないのです。でも、本人はやる気満々。

「いくらやる気があっても、ビジネス上の最低の経験や知識がないと結果は出ない」

当時私はそう信じていました。それで雇っても結果が出ず、すぐ嫌になって辞めるだろうと判断し、彼を不採用としました。しかし、それにもめげず、来る日も来る日も直接会社に来て、私に頭を下げるのです。

「とにかくチャンスを下さい。命懸けで何でもやりますので、置いて下さい」と。その無鉄砲で一途な姿が、昔の自分に似ていて情が湧いてしまいました。

根負けして、とりあえず一ヶ月間無償ならということで、来てもらうことにしました。そしたらです。彼はアッと言う間に仕事を覚え、日々メキメキ力をつけていきました。

驚いたことに、たった一ヶ月の間に、ベテランでも大変な新規大手顧客を開拓してしまったのでした! それで私は、彼にテストの意味で毎日無理難題を課していきました。

しかし、まったく弱音を吐くことなく、ついに彼の口から「できません」「不可能です」「無理です」を一度も聞くことはありませんでした。まず、素直にすぐにやり、失敗し挫折しながら立ち上がり、遂にはやり遂げていくのです。私は彼から教わりました。

「人間、経験や知識がなくても、挑戦し続ければ最後はできる」と。

ちなみに、彼はその三年後弊社を辞めました。潰れそうになったお父さんの会社を継ぐためです。見事に会社を再生させ、社長として毎年増収増益を繰り返しています。