「一生懸命こんなに頑張っているのになぜ成果がでないだろう?」。よく聞くことです。私も競泳選手をしていた時に、いつもこんなふうに嘆いていました。

人より倍近く努力しているつもりなのに、なぜだか、人より悪い結果しかでないのです。世の中本当に不公平だと思いました。

 でも「どんなやり方にしても、努力した人全員に成果がでるほど世の中単純で甘くはないのでは?」とある時から思うようになりました。私以上に努力していて、もっと結果が出ていない人を間近に見るようになってからです。

 それから「そもそもどうしたら成果って出るようになるのだろう?」って考えるようになりました。ず~っと答えを求めて、考え続けていた時がありました。


ある時、アーカンソー州の貧しい家庭に育ち、夜学に通いながら弁護士の資格を取り、クラブコーポという全米最大級のゴルフ場運営会社(保有・運営資産:20兆円)をゼロから十数年で築き上げた大富豪、故ロバート・デットマン会長(当時)にお会いした際、その質問をぶつけてしましました。

 ニコニコしながらデッドマンさんは言いました。

「君は一生懸命やっているようだが、おそらく頭を使ってないじゃない? 私は若い頃貧しかったし、成績もよくなかったから、頭を使って知恵を絞り効果的・戦略的に生きる方法を考えたよ。その結果大好きなゴルフ(ビジネス)で大儲けする方法を考え出したんだ!」

すかさず私は「じゃあどうしたらいいんですか?」と。

デットマンさんは淡々と話しつづけました。

「君も早く好きなビジネスを見つけて、ただひたすら一生懸命ではなく、もっと頭を使って楽しくお金を稼ぐ方法を見つけたら!? 成功のカギは自分がやっていることが、効果的か? 戦略的か? 絶えず自問自答し、そうなるようビジネスを変え続けることだよ。バカの一つ覚えのように一つのビジネスに拘り続けちゃダメだよ。進化しなくちゃ!」

 

デッドマンさんが亡くなって早4年になります。それが彼との最後のやり取りになりました。

最近彼のその言葉が少しずつわかり始めました。ビジネスでは、もっと頭を使って効果的かつ戦略的にどんどん進化させなきゃって……。ビジネスの世界から手を引くまで。