「同じ目指すなら、『できる社員』に留まらず『凄い社員』を。「凄い社員」とは、本物のプロフェッショナルをいう」



ずっと「できる社員」になるための方法を説明してきましたが、我々が目指すべきは、「できる社員」ではありません。「凄い社員」なのです。

「できる社員」とは、単に他の社員より総合的にできる社員のことをいいますが、国際的に過激な競争に入った21世紀の今、その程度の社員ではまったく、本格的な戦力としては不十分です。

それこそ、本物の勝ち組社員となるためには、「凄い社員」にならなければなりません。


 それでは、「凄い社員」とはどんな社員なのでしょう?

 私の定義では、本物のプロフェッショナル〔プロ〕を意味します。つまり、プロ中のプロを指すのです。

 成果主義を基盤に、生産性、効率、効果、競争力、スピードを探求する現代の企業経営の環境において、必要なのは、社員でありながら、まさに本物のプロの意識をもった人達です。


 私は、既に数多くの講演や出版物で、「本物のプロとは?」を紹介してきましたが、念のため、次にその16条件をここでも紹介しておきます。


(1) 仕事に人生をかける人

(2) 不可能を可能にするために限りなき努力をする人

(3) 自分の仕事に誇りを持つと同時に謙虚な人

(4) 先や時代を読んで仕事をする人

(5) 時間より目標を達成させるために仕事をする人

(6) 高い志・理念・目標に向かって邁進する人

(7) 結果にすべての責任を持つ人

(8) 成果によって報酬を得る人

(9) 仕事において甘えのない人

(10)能力向上のために常に学び、努力し続ける人

(11)仕事を通して人間性・能力を高めていける人

(12)謙虚にかつ貪欲に誰からでも学ぼうとする人

(13)仕事を通して周りの人に夢と感動を与える人

(14)仕事のために自己管理が徹底できる人

     (15)尊敬できる人(メンター・師匠)を持ち、その人から徹底的に学んでいる人

(16)真剣に人材(後輩)育成している、または将来する決意のある人


私がまだ米国で大手コンサルティング会社に勤め始めたばかりの頃、突然アメリカ人上司に呼び出され、一括されました。

「君にはプロ意識がなさ過ぎる! 安月給だと思っているかも知れない。だが、まだ新人で成果を出していないのだから、報酬が低いのはあたりまえだ。しかし、例え1セントでも仕事の対価として報酬を得たら、我々の世界では、もうその人はれっきとしたプロだ。プロの世界では、成果を出せない人は、一人もいらないよ! 例えば、プロ野球の投手が、『一生懸命投げ抜いたけど、10点取られて負けちゃった! でも新人だからしょうがないや~』では、プロ失格だ。同じように、我々も『仕事の成果は出せなかったけれども、新人として一生懸命やったからしょうがない』という言い訳は、許されない世界なんだ。プロの世界は結果がすべてだ。新人とかベテランとかは、顧客からしたら関係ない。成果させ出してくれれば、誰がやってもいいのだ。今日から新人としての甘えとサラリーマン根性を捨てろ!」と。


 彼の言葉には物凄く説得力がありました。なぜなら、彼こそそうやってプロ中のプロとしての道を究め、出世し続けてきたからです。

 ケンタッキー州立大学という、当時いた世界最大級のコンサルティング会社のニューヨーク本社からすると、三流大学を出たにもかかわらず、一流大学出身者ばかりの同期入社組の中でも出世頭として社内で名を馳せたのが、その上司だったのです。

 その彼が、入社直後から仕事でどんどん成果を出し、あれよあれよと言う間に出世していったのでした。

新人の頃から、徹底した実力主義で大きな成果を出してきた彼からすると、仕事が遅く、雑でミスばかりしている当時の私は信じられない存在だったのでしょう。

 将来その道で独立することを考えていた私は、彼の言葉には一言もないくらい納得させられました。

 そして、本物のプロを目指すことを一大決心したのです。


 私は、既に紹介しましたプロとしての16条件のリストをどこに行くにも持ち歩いています。プロとしての高い意識を維持し続けるために、定期的に目読しすることで、自らを初心に返らせ戒めるためです。

 独立する前の、まだ勤めていた頃、このリストにあるようなプロになれるよう挑戦を始めたら、急に仕事にやりがいを感じ始め、楽しくなっていったのを今でも鮮明に思い出します。

そして、職場で大きな変化が起こりました。周りの人が、私がやることを「できる」から「凄い」と言い始めたことです。

 自らの体験から、このプロ意識を持って挑戦していけば、必ず「凄い社員」になれることを確信します。