「上司に付き切った者だけが、上司になった時、部下が付いて来る。部下として苦労した経験が信用を生むからだ」



 部下として上司に付き切った人は、人から信用されます。特に上司のいいところだけ見て、付き切るのです。

上司に付き切れるということは、部下として素直に謙虚に下積みの仕事で耐え抜いた証になります。

 また、部下の気持ちがわかるということでもあります。それはそうです。上司に徹底的に付き切ったのですから。


私のメンター、A氏は、医者から30歳まで生きられないだろうと言われていました。結核になったからです。

医学の進歩により、今は治りやすいのですが、当時としては不治の病だったそうです。

そんな中、彼は生涯のメンター、B氏に19歳の時に出会いました。

お会いした瞬間、あまりの人間的な魅力とスケールの大きさに圧倒され、B氏を人生の師にすることを決められたそうです。

出会った当時、B氏は、出版社を経営していました。

少しでも師の下で学びたいとの思いから、その会社に部下としてお世話になることにしたのです。

しかし、その会社はA氏が入社してすぐに倒産してしまいました。

体は弱かったのですが、A氏の読書欲と向学心は並々ならぬものがありました。

「学ばざるは卑し」との思いがあったのでしょう。


どこまでも上司B氏に付き切りました。

B氏から一人去り二人去っていく中、命懸けでお守りするため、通い始めていた大学も諦め、中退したのでした。

しかし、そのお陰で、大好で尊敬するB氏から、マンツーマンで、政治・経済・教養・教育・歴史・地理・哲学・文学などありとあらゆる領域に渡って、直接教えてもらうことができたのです。

約10年間、毎朝のように、また休日や夜遅くにはB氏のお宅で講義して頂いたそうです。厳しかったけれども、凄く嬉しかったのでした。


A氏は、B氏ぐらい偉大な人に会ったことがないと言われます。

世のため人のために、命を懸けて言動していたB氏を見習い、自分の人生すべてを懸け、また命も賭けてもいいと思ったのでした。

B氏からの薫陶もあって、A氏も人間的に脅威的成長を遂げました。

世界的なリーダー、教育者、哲学者、作家、写真家、詩人……。多面の顔を持たれています。一人の人間ができる業績では考えられないほどのあまりにも偉大過ぎる、凄過ぎるものがあります。


 A氏とB氏には様々な共通点があります。

その顕著なものが、上司から徹底的に教えを請い、真似したことです。

そして、どんな仕事も全力を尽くしてきたことです。

不可能そうなことでも、「自分がやらずして誰がやる」との思いで、上司のために躊躇せずに挑戦し続けたのです。

そして数々の奇跡を起こしたのでした。

それを見て痛感します。上司を尊敬し、少しでも上司に近づこうとして毎日弱き自分に挑戦していったとき、「できる社員」として急速に力がついていくものだと。