私は移動の際、できるだけ電車を使うようにしています。主に吊革などいろいろなところに貼ってある広告や駅構内の店などから発信されているホットなトピックや、車内などで人が話している情報を得たいからです。

 その中でよく出くわす、私には理解し難い不思議な光景があります。

若手サラリーマンやOLが大きな声で会社や上司・同僚などに対して文句を言ったり批判したり、職場や仕事への不満をネチネチ・ブチブチ言っている姿。そして年齢的に見て、会社の部長や課長クラスの中高年の人達が、人目もまったく気にせず、一心不乱で漫画やヌード写真だらけの週刊誌を読んでいる光景。

 ず~っと観察する内に、なぜそうするかわかりました。仕事を楽しんでやっていないためストレスがたまり、それが会社・上司・同僚など周りの人々への怒りと非難に変わるのです。

連れがいる場合は、悪口を言いたいだけ言うことでストレスを発散させています。一人の場合は、言う相手がいませんから、頭を使わなくてすむ漫画や週刊誌を見る(?)ことで、ストレスを発散させているようです。

 人に迷惑さえかけなければ、方法はどうであれ、ストレスを発散させることは、仕事へのやる気に繋がるので、いいことだと思います。

しかし、「どうして仕事を楽しめないのか?」、その前に「どうせやるならなぜ楽しく仕事する方法をみつけないのか?」、もっと言うなら「なんで好きな仕事をしないのか?」という素朴な疑問を持ってしまいます。

 勿論、仕事の対価は大切な人様のお金ですから、趣味のように楽しい思いだけして、頂くわけにはいきません。そこには、お金を頂く以上、プロとしての厳しい仕事をしなければならないでしょう。

 

人生はたった一度です。その人生のうち、ほとんどの人の場合、寝て食べるという人間が生きるために必要な欲求を満たす時間以外に、一番費やすのが働く時間です。であれば、嫌なことを文句や愚痴を言いながら嫌々するよりも、好きなことをやる方が楽しいし、成果もでやすいでしょう。

 なぜ好きなことを仕事にすると良いかと言うと、好きだからどんどん知恵を出し工夫できるからです。飽きることなく四六時中考えて、より良いアイデアややり方を実行に移せるからです。なんと言っても一番の理由は、一日中やっていても楽しいので、成果が出やすいからです。

 多少能力や才能がなくても、自分の好きなことを続けていると、気が付いたら、既にその道のプロになっていることが往々にしてあります。

大事なことは、趣味でやっていた頃は、少々の行き詰まりや妥協も許されますが、プロとしてお金をもらいながらやるとなると、完結させるまで妥協は許されません。

ですので、本当に好きであることを確認し、また好きであり続けられるように工夫してやることです。


同じ好きでも、趣味でやっているのと仕事としてやっているのとでは、大違いです。

趣味はいつでも止められますが、仕事は責任上・経済的理由から途中で止める訳にはいきません。

また、仕事でやっている場合、通常締切があります。時間に追われながら締切に間に合わせるために仕事をこなすことは、相当ストレスが溜まります。そうなるとよほど好きでないと続かないでしょう。


小説家は文章を書くのが大好きな人が多いわけですが、締切を目の前にすると、全然書けなくなり逃げ出したくなることがあるとよく聞きます。

直木賞や芥川賞を受賞したベストセラー作家ですら同様の経験があるそうです。でも、最後はそのプレッシャーを乗り越えなんとか徹夜続きで締切に間に合わせます。それがその仕事でお金を稼いでいるプロというものです。

最終的にはなぜ彼らが毎回そのような大きなプレッシャーを受けながら書き続けられるかというと、書くのが大好きだからです。大好きなことをしてお金がもらえるのですから、こんなに幸せなことはないでしょう。


私も経営者の相談にのるのが大好きです。特に彼らが持ち込んでくる難題をいっしょになって取り組み解決していくことに、生き甲斐を感じています。

このように大好きなことをしてお金が稼げる自分は、「なんてラッキーで幸せなんだろう!」といつも感謝しています。


高校三年生の時に、今私がしているのと同じ仕事、つまり国際経営コンサルタント業をしている人とひょんなことから知り合いになり、銀座にある彼の事務所に頻繁に遊びに行きました。彼と彼の仕事を知れば知るほど、自分にとってこんなに楽しく生き甲斐を感じる仕事はないと思いました。まさに私にとって天職だと実感しました。

大学卒業後、国際会計・経営コンサルティング会社に合計10年勤め、その後国際経営コンサルタントとして独立して11年以上経ちますが、時間が経てば経つほど、経験を積めば積むほど、こんなに好きで自分に合っている仕事はないと確信させられます。つくづく天職だと思います。楽しい上に生き甲斐にもなっていますから、ライフワークとして死ぬまでやっていくことになるでしょう。

 もし、今やっている仕事が楽しめないのなら、楽しめる方法を見つけるか、楽しめる仕事を1日も早く見つけられることをお薦めします。

何をやっていいのか、何が好きな仕事なのかわからない場合は、消去法、すなわち世の中の仕事で自分に合わないことややりたくないことを消去して、残ったことから好きな順にやってみたらどうでしょう。

 または、どうしても何に興味があるかわからない人や、今やっていることが好きかどうかわからない人は、全力で今の仕事に取り組んでみることです。

なんとなくやっているとむいているかどうか、好きかどうかわからないものです。

しかし、一生懸命やってみるとより成果が出ることから、向いていると実感したり、好きになることも結構あります。

とにかく、早く自分の好きな仕事を見つけるか、今の仕事を楽しくする方法を見つけて打ち込んだ方が成果も出易いですし、日々楽しく生きられることは間違いないでしょう。

たった一度の人生ですから、気が付いたらいい歳になり「しまった!もう出直しはきかない・・・」などという悔いは残したくないものです。