「好かれている人ほど頼まれる。頼われていることに感謝し、最善を尽くそう。そうすることで人間的にも成長できるから」



 後輩ですが、私が尊敬する人達の一人に、とにかく色々な人からやたらと様々なことを頼まれるD君がいます。彼は30歳になったばかりという若さで、超大手企業で部長をしています。

 後輩でありながら、なぜ私がD君を尊敬するかと言いますと、彼は人から頼まれると、嫌がらずにすぐにやるのです。その上、頼んできてくれたことで相手に感謝の意を表します。

「ありがとうございます。私のような者に、そんな大事なことを頼んでくれるなんて、光栄です。微力ですのでご期待にそえるかどうかわかりませんが、できる限り頑張ります」という具合です。

 頼んできているのは相手ですから、本来ならそこまで謙虚にする必要があるかどうかは疑問ですが、D君は誰に対しても誠心誠意の対応をするので、そんな姿を見る度に、彼らしいなあと思うのです。

 頼んでくる人は、会社の上司・先輩・後輩は勿論のこと、社外の人まで含まれています。

 D君のことを「人が良過ぎる!」と言う人もいます。

本人はどう思ってやっているのか、またそんなことをし続けていたら、どんどん頼まれて収拾がつかなくなるのではと懸念しました。よって、今後どうするのかが知りたくて、ある時直接彼に聞いてみたのです。


「何で人から頼まれたら無理してまで嫌がらず、すべてやってあげようとするの? あなたぐらいだったら、自分のことで手一杯でしょう。現実問題として、とても他人のことに関わっている余裕なんかないんじゃないの?」

「確かに大変です。かなりの人から頼まれますので。それも社内外から。中には悪意や人を利用するために頼んでくる人もいますので、そんな依頼はすぐにお断りします。しかし、そうでなければ、できるだけお受けしてお手伝いするようにしています。事前にできないかも知れないことだけはお伝えして。一度受けたら時間的に自分との戦いになります。でも、何でも挑戦することで、自分が成長できますから、有り難いことです」

 その言葉を聞いて、D君は将来大物になると確信しました。実際、30歳で重要な部署の部長をしているのも、周囲の彼に対する評価の表れでしょう。


 それより驚かされるのは、会う度に毎回人間的に成長しているのです。

D君を見ていると、「昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分」という言葉がぴったりです。

つまり、常に精進しているのです。

現実にどんどん出世していっています。

D君ならどんな役職もこなせることでしょう。

彼のような存在の人をまさに「後世畏るべし」と言うのだと思います。


 多くの人から頼まれるということは、時にはうっとうしいこともあるでしょう。しかし、それだけ信頼されている証拠でもあるので、本人はその評価に感謝しているのです。

 確かに私も色々なことを頼む人が何人かいます。最も信頼しているからです。大変だとわかりつつついつい頼んでしまいます。

 たとえできなくてもいいのです。頼んだことを一生懸命やってくれている姿を見ると、嬉しいし本当に頭が下がります。感動させられます。彼らのためなら何でもやってあげたいと心から思います。

 D君のように、多くの人にそう思わせるのは、その人の人間的魅力ではないでしょうか。

 そんな人には、どんどんファンや味方が増えていくものです。ですから、彼らがいざ困ったときや助けが必要なときには、沢山の支援者や助っ人が出てくることでしょう。


 D君は年下ですが、人間的には一回りも二回りも私より大きな人です。ですから、気がついたら私も彼の大ファンになっていました。

そんなD君のように人間として器が大きい人になれたらと、彼と出会ってからいつも念願する次第です。