「掃除や整理整頓などの基本を軽視するからダメなのだ。できる人は、『小事が大事』で、小さいことでも重視にする」
ダメ人間だった私が、仕事で成果を出せるようになった理由の一つは、掃除や整理整頓など基本的なことを重視し、徹底してやったからなのです。
これは新人時代、上司がいつも厳しく言っていたことなのです。ですから、クビにならないために必死になってできるようにしました。
元々私は、何をやってもダメでしたから、できるようになるまで、忍耐強く努力はしました。
たかが清掃や整理整頓です。
でも気がついたのです。ほとんどの人が掃除や整理整頓などの仕事において基本的なことを軽視しているのです。
確かに一見大事ではなさそうです。
しかし、私は仕事において、基本的なことほど大切なことはないと思っています。
と言うのは、仕事でミスや失敗を起こす最大の原因は、基本的なことを軽視するからなのです。
つまり、掃除や整理整頓をして自分自身の周りをきれいにしない人は、心が乱れている証拠なのです。心が乱れていたら、集中して仕事で頑張れません。
そんな状態であれば、仕事にも全力を出せませんから、成果が出るわけがありません。成果どころか、ミスや失敗ばかりすることになるでしょう。
「服装の乱れは、心の乱れ。職場(仕事場)の乱れは、仕事の乱れ」
私の元上司の口癖でした。
「職場を見れば、その会社と社員の質がわかる」
彼は、初めて顧客(クライアント)候補となる会社を訪問した際、必ずその職場をチェックするようにしていました。ですから、この言葉は上司の長年の経験から導かれたものなのです。
ある時、彼といっしょに初めてクライアント候補の企業を訪問していた時のことです。その会社は、業界でも注目を集めていた、「超」急成長中のベンチャー企業でした。
私のその上司は、入ったばかりの職場を見ていいました。
「ネイト(私の米国でのニックネーム)、この会社はすぐ行き詰るから、顧問契約を結ぶのは止めよう」と。
「はい! 何故でしょうか? これだけ世間で評価されている将来性がある会社なのにですか?」
「今はそうかも知れない。しかし、この会社の経営者や社員は、職場が汚いのに無頓着だ。いくら急成長中のベンチャー企業でも、職場をないがしろにするような経営者や社員が中心になってやっているところは、すぐにおかしくなる。そんな会社は、我々の手には負えないよ。会社としての基本ができていないのだから、おかしくなるのは時間の問題だよ。ネイト、よく覚えておいてくれ。『一事が万事』だから、掃除や整理整頓できていない会社は、必ず行き詰るから」
結局、上司の判断で、その会社の強い要望にもかかわらず、顧問契約をしないことになりました。
当時の私には、まったく理解できませんでした。せっかくのクライアント候補なのに、契約を結ばないなんて。
しかし、その半年後上司の意味していたことがよくわかりました。なんとその会社は倒産してしまいました。3人の社員が、大金を持ち逃げしてしまったのです。
その時初めて、仕事とは一見関係なさそうな掃除や整理整頓などの基本的なことが、いかに大切かがわかりました。