「そんなこと無理に決まっているじゃないか! 現実を直視して、まず高校を卒業することに全力をあげなきゃ」

 尊敬するある先輩に、国際経営コンサルタントになるため、米国の経営大学院(ビジネス・スクール)に行くことを相談した時のことです。結果的には厳しく怒られてしまいました。

 それもそのはずです。当時私は成績が悪すぎて高校卒業も危ぶまれ、付属高校にいたにもかかわらず大学への推薦も受けられない状況でしたので。

先輩が指摘されたように、米国のビジネス・スクールに行くどころではありません。その前にまず高校を無事に卒業すること。そしてどこか日本の大学に潜り込み、いい成績で出なければ話になりません。

ある米国のビジネス・スクールで合格者選考委員をやっていた経験のあるその先輩の指摘は、ごもっとも過ぎて、私には一言も反す言葉がありませんでした。

 そのため延々と悩み葛藤し始めたのです。

勉強、特に英語が苦手なのに、夢である一流の国際経営コンサルタントになるための近道として、米国のビジネス・スクールに行くことを一大決心したのでした。元々頭の悪い私には、奇跡を起こす以外ありませんでした。


 それから来る日も来る日も悩み続けました。相談した人のほぼ全員から、米国ビジネス・スクール留学を反対されました。まさに四面楚歌状態になってしまいました。

正確に言うと、私には能力的に無理だから、挑戦すること自体時間とお金の無駄だから、止めるようアドバイスしてくれたのです。私のことを思ってであることはわかっていました。

でも、何とか挑戦したかったのです。このまま負け犬の人生を終わらせたくないと。

そんなある時、たまたまメンターのスピーチを聞きました。

「君よ自己に断じて負けてはならない。私は待っているから。君の成長を、首を長くして。悩んでいる暇があったら、失敗してもいいからまずやってみてほしい。失敗を恐れてはいけない。若いうちの失敗は、将来の最高の宝であり財産です」

 話を伺って凄く感動しました。涙が自然と出てきました。目からうろこ状態です。

「そうだ、メンターはもっともっと苦労し、不可能を可能にしてこられたんだ! とにかくバカになって、ひたすら挑戦し続けよう!」

 メンターのその力強い激励によって、不可能を可能に変えるための大きなエネルギーを得ました。

 また、ある時メンターは励ましてくれました。

「たった一度の人生だから、悔いなく生きよう。そのためには、誰がなんと言おうと、夢に向かって努力し続けよう! 挑戦し続けよう! そうすれば、夢はいつか必ず叶うから」

 その言葉を100%信じました。そのお陰でテキサス大学ビジネス・スクールの修士・博士課程も無事に終了すると同時に、7年間同ビジネス・スクールで教える機会まで頂きました。

夢にまで見た、国際経営コンサルタントとして、1992年に米国で独立できたのです。

「ああ、あの時諦めなくて良かった!」

 心からメンターに感謝しました。あの時、メンターの激励がなければ、今の国際経営コンサルタントとしての自分は存在しないのです。

それからは「悩んでいる暇があったら、まずやってみる」が私の生き方の基本であり信条となりました。