よく、素晴らしいビジネスモデルだとか、技術だとかで、その事業を運営する中心者の人間性を評価しないで、お金を出される人がいます。

それは大変危険です!

今までそうしてきたなら、あなたはずいぶんと損をしてきたはずです。

 なぜなら、ビジネスでは最初から計画通りいくことはないからなのです。従って、そのビジネスモデルや技術で事業を始めても、まず失敗します。

失敗後、もし、ビジネスモデルや技術はそのままで、進化させられなければ、ビジネスはそれで終ってしまうのです。

その上、事業の中心者、つまり社長が誠実な人でなければ最悪です。そんな人が中心をしている事業が失敗した場合、何も戻ってきません。支援してくれた人達に報いようとして踏ん張り、再起させようとはまったく考えないからです。開き直るなり、逃げるなりして無責任な言動を繰り返すのです。

酷いケースは、自分の責任は棚に上げ、「そもそも失敗する可能性はあったわけで、それでも評価して決めたのは、お金を出した方だ。だから出した方の責任で、なんで責任を私が問われなければならないのか?」とふてぶてしく言う社長までいます。

私も何度か倒産企業の債権者会議に出て、そんな社長を見てきました。

「なんでこんな無責任な人間が、他人の大事な大金を使って、事業を起こしたのだろう?」と、あっけにとられることがあります。

たとえ、たまたまラッキーで、ビジネスモデルや技術に問題がなく成功できたとしても、それは一時的なものです。事業を運営する人間がしっかりしていなければ、時間の問題で行き詰ります。

ビジネスモデルや技術は、すぐに真似をされたり、もっといいものが出てきたりもしますから。どんどん進化し成長できる会社であり、経営者でなければ、長く生き残れません。

それが、趣味とは違う、ビジネス上での戦いとしての経営というものです。

ですから、もしあなたが、お金を出資するなり、貸し付けるなりして、事業を応援する場合、ビジネスモデルや技術、更には計画だけで、判断しないで下さい。経営者がおかしければ、間違いなく失敗するでしょう。

支援を決める上での判断材料で最も重要なのは、事業の中心者の人間性です。どれだけ、誠実に頑張れるかです。

その点を見ないで、お金を出す場合、寄付したものと考えて下さい。まず、戻ってきませんから。

経営者に誠実さがさえあれば、失敗しても命がある限り、お世話になった人達への恩に報いようとします。それこそたとえ会社が潰れたとしても、どんなに時間がかかっても、恩返しのためには、何度も何度も挑戦し続けることでしょう。

それが誠意のある人の行動です。

従って、他人にお金を出す場合のルールは、ビジネスモデルや技術にお金を出すのではなく、中心者の人間性、特に誠実さを徹底的に把握・判断して、決めて下さい。

私や私の友人達の体験から、そのことは自信を持って言えます。誠実な人にお金を出した時は、時間がかかっても必ず返ってきたからです。