人の評価をする上で、かなり参考になる基準があります。それは、その人のお金の使い方を見ればいいのです。

 一番見るべきポイントは、きれいで価値的なお金の使い方をしているかどうかです。価値的というと、費用対効果のように、使ったお金に対する期待できる成果を考えがちですが、そうではありません。

 どれだけ、人を喜ばすため、また人のためになるお金の使い方をしているかどうかなのです。これは、お金を使うことの「美学」としてとらえることができると思います。

 この世には、いいことをすればいい結果が起こり、悪いことをすれば悪い結果が出るという「原因結果の法則」、略して「因果の法則」又は「因果の理法」が存在していますから、お金を、人を喜ばすため、人のために使えば、その分あとになって、人から喜ばされたり、人からためになることをされるでしょう。

 20年近く米国で過ごし、帰国してつくづく思います。日本人は、欧米人に比べ、ある程度のお金を稼いだり、貯金したりするのは得意ですが、使い方がとても下手だと思います。自分のためだけに使う人が圧倒的に多いのです。

 お金はできるだけ、世のため人のために使うのがいいのです。それもけちらないで。自分のためだけに使っていると、卑しくなってきて、周りの人は軽蔑してどんどん離れていきます。たとえどんなにお金があっても、です。

 お金を世のため人のために美しく使える人は、そんな良いことをする原因として、大きな良い結果が訪れることでしょう。それは、体験した人でないと、わからないのです。

 しかし、一度体験したら、美しくお金を使うことの凄さを身に染みるはずです。

 私は米国で、何十人もの大富豪の顧問をしていましたので、それがいやというほど理解できました。なぜ彼らが大富豪になれたのか、そしてなぜその後もどんどんお金が増えていくのかは、そのお金を美しく使う姿を見て、納得できました。

彼らが、お金を使う姿は、素晴らしいものです。時には感動します。

世界最大級の投資会社、バークシャー・ハサウェイ投資株式会社の最高経営責任者(CEO)であり、世界第二位の大富豪、ウォーレン・バフェット氏は、2006年6月26日に、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が引退後主催する慈善団体へ資産の約85%(約4兆3000億円)を寄付することを発表しました。

我々日本人の金銭感覚からすると、スケールが大き過ぎて圧倒されます。が、美し過ぎるくらいのお金の使い方ではないでしょうか。