ビジネスで最も大事なことの一つは、信用力だと思います。信用力さえあれば、通常どことも取引できますし、ちゃんとした金融機関から、必要な時に必要な額のお金を借りることもできます。出資者も簡単に集められます。

 それでは、信用力を得るにはどうしたらいいのでしょう?

 私は、経験上凄くシンプルだと思っています。

 それは、当たり前のことを当たり前にやればいいだけのことなのです。

例えば、きちっとした信頼性の高い事業計画書と作るとか、正確な決算書を迅速に作り発表するとか、どんどん革新的なことに挑戦するとか、「選択と集中」の一貫で、将来性のあることを選択し、そこにヒト、モノ、カネを集中的に導入するとかです。

 逆にビジネスで失敗している最も多い原因は、この当たり前のことを当たり前にやっていないからなのです。


 20年以上企業へのコンサルティングや支援を日米アジアでやらせて頂いて、自信を持って言えることがあります。

それは、失敗した経営者やリーダーは、物事を複雑に考え過ぎて、怖くて何もできないのです。物事は複雑に考えれば考えるほど、実体が見えなくなりますし、その解決策もわからなくなります。

 成功のカギは、複雑そうな問題でも、とにかく、問題をきちっと整理してシンプルに考えることです。

 問題解決の基本は、世の中のどんな複雑な問題も、シンプルに捉え、それに対して、シンプルな手を打っていくことだと私は常々思っています。つまり、問題の本質は何かということでもあります。少なくとも、私が関わってきた問題では、その手法ですべては解決できてきました。

シンプルな手を打つということは、実はウルトラ技を使う訳でもなんでもなく、当たり前のことを当たり前にやるだけなのです。

売上が少なければ、徹底して売上を増やす工夫をする、経費がかかり過ぎていれば、とことん経費を削る。ビジネス量の割合から見て、家賃が高過ぎれば、家主と交渉して家賃を下げてもらうか、それができなければ、家賃のもっと安いところに移る。こんなこと、優秀な経営者でなくても、誰でもわかっていることなのです。

しかし、わかっていることと、すぐに実践できることと大違いです。

会社を潰した経営者は、皆こんなことぐらいよくわかっていたのです。でも、実践できませんでした。


なぜ、こんな当たり前のことが実践できなかったのでしょうか?

理由はいくつかあるとは思いますが、私は決定的な原因は、「自分への甘え」、要するに油断だと捉えています。

違う言い方をすれば自分のやっていることへの継続的な危機感がないのです。

毎日、今やっていることが正しいかどうかを確認しないのです。

これほど激動し変化が早い上、多様化している時代ですから、極端な話、朝正しかったことが、午後は間違いになることも、多々あります。

ですから、正確な現状把握と反省、そして軌道修正と革新的なことへの挑戦を毎日していかなければ、時間の問題で世の中から取り残され、負け組入りすることになるでしょう。これは、現代においてはもう、当たり前のことなのです。できる経営者・管理は、皆実践しています。


ですから凄い人は、朝皆に約束・断言したことでも、午後には、そのことを堂々と全面否定します。表面的に判断したら、その人は、考え方や方針をコロコロ変えるいい加減な人と見てしまうことでしょう。

私はそういう人はとても勇気にある人だと思います。現代の当たり前のことを当たり前に、すぐに実践できるきわめて優秀なリーダーだと評価します。

どんどん変わる今の世の中では、自分も会社や組織もどんどん変わらなければ、ビジネスの戦いに負けてしまいます。それが当たり前なのです。

このように当たり前のことを当たり前にやっていれば、周りの人々からどんどん信用され支援されますから、成功する確率も段々高くなるのです。