人生の成功のカギの一つは、人と違う新しいことに挑戦できる勇気があるかどうかだと思います。人間の能力や環境の違いというものは、本人が思うほど大した差でないようです。それは、成功者達を見ればすぐにわかります。それほどの違いはないのです。

 特に大成功した人のほとんどは、何もないところから始めたのです。人によっては、例えば、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツやデル・コンピュータ創業者のマイケル・デルなどは、資金、信用、実績、経験等々何もない学生の頃に起業し、世界的な企業にしました。彼らは、とにかく無鉄砲だったのです。

 凡人と何が違うかです。

 私は根本的に違うことは、たった一つだと思います。

 それは、「勇気」です。前人未到のことに挑戦しようとする勇気です。失敗を恐れない勇気です。

 失敗してもいいではないですか! 死ぬわけではないので。命さえあれば、いくらでもやり直せます。という具合に、です。

やり直せないのは、それこそ再度勇気を出して、やり直そうとしないからです。

「勇気」ということでは、私はソフトバンクの孫正義社長を尊敬します。もう企業家としては、ある程度成功したことから、これ以上新しいことに挑戦せず、今あるものを守ることをしてもいいのではないかと思っている人は少なくないと思います。

 しかし、彼はそれを良しとはしません。元々ビジネスの世界に飛び込んだのは、儲けるためでも、名声を得るためでも、社会的な地位を得るためでもありません。人と違う新しいことに挑戦し、世の中に貢献したかったからなのです。

 だから、どんなにお金ができても、どんなに会社が大きくなっても、そんなことは、彼にとってどうでもいいことなのです。

 大事なことは、新しいことに挑戦し続けることなのです。

 彼はある意味でとても怖い存在です。失うことを恐れないからなのです。そんな人に今まであったことはありませんか? とにかく失うことを恐れず、どんどん挑戦し続ける人に、です。

 同じような人生を歩んだ人にフランス革命後のフランスをまとめあげ、フランスに帝政を敷いたナポレオン・ボナパルトが挙げられます。彼も何もないところから、成り上がりました。頂点に立ってもそれを良しとせず、どんどん戦いを挑んでいきました。

 凡人ならある程度の権力と地位を手に入れた時点で、危険な挑戦は止めることでしょう。しかし、彼は戦い続けました。それも命を惜しまず先頭に立ってです。

 私はどんな分野でも大きなことをする場合、命懸けでやらなければできないと常々思っています。なぜなら大きなことというのは、新しいことでもあることから、必ず反対者が出てきて、止めさせるために脅してくるからです。

 日本でも丁度幕末がそうでした。例えば、坂本竜馬も改革を止めさせられるために、新撰組に殺害されました。

 ですから、本当に新しいことに挑戦するのであれば、命を捨てるくらいの気概、つまり勇気が必要なのです。でなければ、新しいことに挑戦する中で、苦難があれば、すぐに退いてしまうことでしょう。

 例えビジネスであろうとも、中途半端な気持ちでは、大成はできません。やはり、ソフトバンクの孫社長のように命懸けでなくてはいけません。

しかし、もしかして、その挑戦する過程で失敗し、すべてを失うかも知れません。

それでもいいと思います。命さえあれば。どうせ死ぬ時は、すべてを失うのですから。であれば世のため人のためになることをして、人から感謝されたいと思いませんか。

実は、不思議なもので、それぐらいの勇気を持ってやれば、何事も最後は成就するものなのです。これは、私が米国で成功者を見てきた結論でもあります。その点に気づき、勇気を持って何事にも挑戦していけば、必ず成功することでしょう。