「本気が勇気を生み、勇気が行動力を促す」
これは、私が米国で大手国際会計・経営コンサルティング会社、プライス・ウォーターハウスに勤めていた時に仕えた上司、ポール・ウイーバー氏の口癖でした。
彼は貧しい家庭に生まれながら、苦学して大学を出て、同社に入ってきたのでした。物凄い努力家で、昼間は仕事をバリバリやりながら、スピード出世をする一方、夜はミシガン大学経営大学院(ビジネス・スクール)に通い、念願だった経営管理修士号(MBA)を取得しました。
管理職になってからは、彼が指揮した支店は、全米で300近くある支店の中で、いつもトップクラスの営業成績を残してきたそうです。幼い頃からの苦労人だからか、まず人を大変大事にする人でした。
私がその前に勤めていた同業他社、KPMGから私を引き抜くために、1年間近く会って積極的に入社の勧誘をしてくれた「根気の人」でもあります。
既にKPMGでの仕事や役職、そして報酬面でも十分満足していた私は、その転職のお誘いも最初はまったく乗り気でなかったのです。ただ、ウイーバー氏とは、住まいが近いこともあり、ずっと入社を断り続けてはいたものの、彼の凄さは業界でも有名でしたので、少しでも学ぼうと思い、友人としてのお付き合いはさせて頂いていました。
今から考えれば、彼に対してかなり失礼なことをしていたように思います。と言うのは、彼は、当時10万人以上のプロフェッショナル・スタッフかかえる世界トップクラスのプロフェッショナル・ファームの最年少経営メンバーでした。次期最高経営責任者(CEO)最有力候補としても名前が挙がっていたほどの実力者で、本来なら私から見れば雲の上の存在のはずです。相当忙しかったはずですが、そんな彼を私は個人的な様々なことで振り回していました。
それでも、頻繁に会って下さり、いつも夢と計画と経営戦略を熱く語ってくれました。その熱意と誠意に心打たれ、彼の下で働かせて頂くことにしたのです。
ある大型コンサルティング契約をウイーバー氏自ら受注してきた際に、遂に聞いてみました。
「どうやったら、そんなにどんどん大型契約がとれるのでしょうか?」
「基本的には行動あるのみです。行動力がないから、何も起こらないのです」
「その行動力をつけるにはどうしたらいいのでしょうか?」
「勇気です。勇気がなければ、行動する気になれないから」
「すみません。それでは、その勇気を出すためには、何が必要ですか?」
「本気になることです。つまり、「本気が勇気を生み、勇気が行動力を促す」のです。理屈抜きに全精力かけてやるのです。中途半端なスタンスでは何事も成就できないから。仕事も人生も戦いです。その戦いに勝たなければなりません。戦いというと、大変そうだけども、別に生死の戦いではないのです。本気でやり続ければ、負ける次期もありますが、最終的には勝ちバターンに入っていくので、心からその戦いを楽しめるようになります」
私はそんな素晴らしい上司の下で仕事ができることに心から感謝しました。そして、彼がいう本気の戦いをすることにしました。
お陰様で、彼といっしょに次々と様々な戦いに挑み勝ち続け、彼が引き上げてくれたこともあり、彼とセットでその後どんどん出世させて頂きました。