ある時、人間として超一流になるためには、メンター、つまり師匠が必要であることを体験しました。なぜなら、真の師弟関係では、師匠は、弟子を、一日も早く自分を超えさせようとするからです。

 それまでは、どうしてメンターが必要かまったく理解できませんでした。

「所詮、人間は欠点があり、また多少偏った考え方をしている。だから、特定の人を師事することは、その人の欠点や偏った考え方に影響を受けるのでよくないだろう」

 私はそんな風に考えていたのです。

 しかし、私が最も尊敬する方が、昔ある人をメンターにして、命懸けで頑張った事実を聞いて不思議に思ったのです。私にしてみれば、その方こそ、多くの人のメンターになれるぐらい優れた人物であり、リーダーだったからです。

 その方は、言いました。

「師匠のいない人生ほど虚しいものはありません。ぜひできるだけ早くメンターを見つけ、その方に師事しどんどん学んでいって下さい」

 そのことに納得がいかなかったので、すぐに聞きました。

「なんで、師匠が必要なのでしょうか? 師がいなくても、自分で高い目標を立てて、一人で頑張ればいいのではないでしょうか?」

 即座に凄い迫力で答えてくれました。

「違います。君は、本物の師弟関係を知らないから、まだその大切さや凄さを実感できないでいるのでしょう。師を持つと、早く師のレベルまで達しようとするために、師からどんどん学び吸収します。そうすると伸び方が、師がいないより比較にならないほど早いのです。また、身近に目標とする人がいるわけですから、具体的にどう努力したらいいのかがわかり、頑張りやすいのです。一方、師匠の方は、弟子がどんどん力をつけてきますから、自ら負けないくらい更に努力します。と同時に、弟子がいつか自分を越えてもらえるよう、どんどん引き上げます。自分の持っているものをすべて、伝授しようとするのです。ですから、双方から物凄い力が働き、弟子は短期間で恐るべき成長を遂げるのです。

「なるほど、昔から偉大な人には、偉大な師匠がいたのは、そういうことだったのですね!」

 その説明を聞いて初めて納得できたのでした。

 それで、自ら師匠を捜し求めることにしました。

結果的には、人生の師匠と仕事の師匠を見つけました。

2人に共通していたことは、その道で超一流であったこと、そして、若いときから苦難の連続で、血の滲むような努力をしてきたのです。更に、人間性が素晴らしく、とてつもない人間的器の持ち主なのです。

私はその2人を知って、本当に驚きました。人間は腹を決めて命懸けで頑張れば、とんでもない偉業を成し遂げられるのだと。

その2人を知れば知るほど、感動しました。自分も彼らのようになりたいと真剣に思う様になったのです。

それからというもの、私もその2人をいつも意識し、少しでもレベル的彼らに近づきたいとの思いから、今までできなかった、信じられないような努力が、自然にできるようになったのです。

その体験を通して、確かに、もし、私が、その2人の師匠と出会えてなかったなら、そんなに頑張る気になれなかったでしょうし、まだまだではありますが、今ほどまでに人間的にも成長できなかったでしょう。そして、何よりも他人の幸せを願えられる自分にはなれなかったと痛感します。