高度経済成長期やバブル経済期では、会社や組織のために人生をかけて猛烈に仕事をしていれば、それなりに出世もでき、定年まで安泰でした。

会社や組織が、右肩上がりの急成長を続けていましたから、売上・利益もどんどん増えていました。

従って、会社や組織も毎年急拡大していました。

そして、どんどん組織上のポジションも増え、採用した人の登用がどんどんできたのです。逆に人材が足らなかったぐらいです。

多少の能力がなくても、また仕事ができなくても、絶対数において人材不足でしたから、ほとんどの社員が出世できました。日本経済にとって古き良き時代だったことは確かです。

典型的な年功序列制や終身雇用制という日本的経営に乗っ取って、会社、即ち上司に言われるまま、個人の生活や時間を犠牲にして残業や休日出勤を続けていれば、ほとんどの人がある程度まで昇進昇級を約束されていた時代でした。


しかし、今はまったく違います。

プライベートなことを犠牲にして、会社や組織に人生を賭けても、誰も何の保証もしてくれません。そもそも、あなたのことを評価し助け、引っ張ってくれるはずの上司までが、将来どうなるかわからなくなってきたのです。

却って、年功序列・終身雇用を約束されていたはずの上司達の方が、ルールが急変したため、戦々恐々とした日々を送っています。彼らは「今更」ということで、諦めムードに入っているのです。

突然の「窓際族」扱い、「肩たたき」(早期退職命令)、子会社や関連会社への左遷。有名大企業に勤めていても、将来が不確実でリスクも高くなってきています。

下手に無理して住宅ローンでも組みようものなら悲劇が待っています。将来が見えない転職や独立・起業も怖くてできません。

減給降格させられても、職場で無能としてバカにされても、また部下に追い越されても、自身にプロフェッショナル(プロ)としての実力がなければ、またリーダーとしての力がなければ、会社にしがみついて生きていく以外、選択の余地がないのです。

これらは、すべて自分自身が実力をつけていかなければならないこと、そして会社や組織に頼っていたなら、もう将来何の保証もなくなっていることを物語っています。


 世の中大きく変わりました。仕事のルール、出世のルール、組織のルールもどんどん変わっていっています。

しかし、そのことに気がついていな人、また気がついても対応できていない人が、あまりにも多いのです。特に団塊の世代に、です。

これからは、会社や組織で生き残っていくためにも、また転職や独立して成功するためにも、退社後や休日の時間をフルに利用して、プロとして、リーダーとして実力をつける勉強が必要不可欠です。

それをしない人は、どこにいても、何をやっても通用しない、所謂「負け組」としての人生が待っています。

 職場では同じようなことをしていますから、同じくらい努力していれば、個人の能力の差があるとしても、大したものではありません。大きく差がつくの原因が、夜と休日の時間の使い方になります。

 明確に目標を定め、それを目指しどれだけ夜や休日に努力して勉強しているかが大きなポイントとなります。世の中どんどん変わっていますから、過去の経験・知識・勉強は、もう当てにならないのです。

これからは、個人レベルでどれだけ勉強したかが、勝敗の分かれ目になるでしょう。


 本・雑誌・ビデオテープなどを使って、個人でどんどん勉強してもいいですし、経営大学院(ビジネススクール)を始め社会人大学(院)などに行くのもいいでしょう。

人によっては、弁護士、司法書士、公認会計士(米国公認会計士を含む)、税理士、中小企業診断士、行政書士等の資格を目指して勉強した方が、目標が明確で頑張りやすい人もいるでしょう。

あくまでも、このようにキャリアのステップアップのために勉強するのでもいいのです。合格しても、なる必要はありません。合格を目標に、プロとして必要な中身をマスターすることが大事です。


既に述べましたが、私は、日本の大学を卒業後すぐに、米国の大手国際会計・経営コンサルティング会社のニューヨーク本社に就職しました。

米国では、もうプロフェッショナルの時代、つまり、会社や組織ではなく、個人が実力をつけていかなければ、仕事が続けられない社会になっていました。

ですから、私もプロとして勉強することの重要性を、日々の仕事を通して痛感させられたのです。

日中は会社に勤めていましたが、夜と休日を利用して、ビジネススクールの修士・博士課程で学びました。その間、米国公認会計士(CPA)、米国内部監査士(CIA)、米国管理会計士(CMA)の資格の勉強もしました。毎日3時間、毎週土日は2日間で計16時間以上は勉強したと思います。

それを、新卒で就職してから仕事をしながら、ビジネススクールを卒業するまでの10年間やり続けました。

お陰さまで、実務を会社で身につけ、理論や応用をビジネススクールや資格試験の勉強を通して学べましたので、国際経営コンサルタントとして独立した後、どんな仕事の依頼にも、少し調べればスピーディーにこなせるようになりました。

能力のない私のことですので、これらプロとしての訓練の賜物でした。


 今日本も欧米同様、サラリーマンもプロフェッショナル化し、専門知識、語学力、コミュニケーション能力、人間関係マネジメント能力、財務管理能力、統率力(リーダーシップ)等々が必要になってきています。

 仕事が終わって気分転換やストレス発散のため遊びに行くのも必要でしょう。しかし、毎日遊ぶのではなく、工夫して時間のやりくりし、勉強だけは怠らないようにすべきです。

目標を達成してきた人は皆例外なく勉強に挑戦してきたことを忘れないで下さい。

特に、今後どこの会社や組織でも、プロとして、リーダーとしての実力をつけた人が強く求められます。また、その実力がある人のみ、どこにいっても確実に生き残れるのです。ですから、今、プロとして、リーダーとしての勉強は徹底してやるべきなのです。遅過ぎないうちに。