目標を達成できる人は嫌な仕事、乗り気のしない仕事を率先してやります。組織である以上、嫌な仕事や乗り気のしない仕事も、誰かがやらなければなりません。

 どうせやらなければならないのであれば、自分から率先して引き受け早く片付けた方が、皆から感謝され、評価も上がります。そして、後回しにしていやいやながら渋々やるより、自分から引き受け最初に終わらせようとすれば、やる気と勢いがありますから、早く的確に終えることができます。

 私は日本の大学を卒業後、いきなり米国の国際会計・経営コンサルティング会社(ニューヨーク本社)に就職しました。英語と専門能力があまりにもなかったため、私の新人時代の仕事は、もっぱら、書類の整理・コピー、電話番、会議の片付け、書類の単純計算、先輩のカバン持ちなど雑用のみでした。つまり、誰もがしたくない、嫌な仕事、乗り気のしない仕事です。

 私同様新人で入ってきた人の中には、ハーバード大学を筆頭に米国で一流と言われる「アイビー・リーグ」の大学やスタンフォード大学出身者がかなりいました。彼らは成績も頭もよく、無意識ではありましたが、エリート意識丸出しでした。

 ですから、嫌な仕事、乗り気のしない仕事は、できるだけやらないように立ち回るのです。そうすると得した気分になっていたようです。しかし、実際には、結果的に損していたのです。

 なぜなら、それを見ていた先輩や上司達は、彼らのそんなずるい振る舞いをしっかり見ており、厳しい評価をしたのです。

結局、彼らはその評価に対しても不満を持ちました。そして、先輩や上司達と上手くいかず、自ら辞めていくか、辞めさせられるかの選択しか残された道はありませんでした。

これは人生を物語る非常に大事なポイントです。

仕事は好きなことばかりではありません。特に新人のうちは、嫌なことや乗り気のしないことを頼まれたり、担当になることの方が圧倒的に多いのです。また、「経験・知識がある先輩がより高度で大事な仕事し、後輩や新人がその補佐や雑務をする」という組織の常識から見ても自然で当たり前なことなのです。

ところで、よくよく考えてみて下さい。嫌な仕事、乗り気のしない仕事を入社してから定年退職するまでずっとやることは、まずありません。おそらく、新人のうちだけでしょう。

目標を達成する人は、目の前にあることに全力でやります。それが、仕事におけるステップアップに繋がることをよく理解しているからです。

ですから、嫌な仕事、乗り気のしない仕事でも、どんどんチャレンジして、バリバリやっていきます。

そして、それを見ている周りの人は、そのやる気と愚直な姿を高く評価し、時間の問題で、もっと大事で高度な仕事を頼んでくるのです。

 私も入社後10年経ったら、同業で独立するという目標がありましたので、その会社の雑用を含めすべての仕事や業務を学ぼうと、毎日全力でどんな仕事も言われるままに徹底的にこなしました。

 そのお陰で、独立した際、嫌の仕事や気乗りしない仕事も含めどんな業務もやった経験から慣れていましたので、バリバリこなし、小さいながらも会社もどんどん成果を出し、成長していきました。それを見ていた部下達もどんどん真似して頑張ってくれました。

 仕事においていくつか基本になる言葉があります。私は特に、次の言葉を重んじてきました。

「一事が万事」

「若いうちは、買ってでも人が嫌がる仕事をやる」

「嫌なことや苦労してきた分だけ、成長できる」

 この言葉を胸に、私は特に若い時には、徹底して皆が嫌がることや気乗りしないことを引き受けてやってきました。そのお陰で、やりがいのある仕事や面白い仕事を頂いた時、大きな感謝の気持ちが持てたのです。

 どんどん嫌な仕事や気の乗らない仕事率先して前向きにやっていきましょう! 結局、人間的に成長できなければ、本物の目標などは達成できませんから。すべては、あなたの将来の目標のためです。

つまり、目標に早く近づきたければ「急がば回れ!」です。