伸びる人と伸びない人には様々な違いがあります。その大きな一つを紹介すると、いつも問題意識を持って言動しているかどうかです。

 伸びる人は、又はできるとも人とも言えますが、些細なことでも見逃しません。一つひとつのことでも、絶えずいいのかどうかをチェックするのです。また、なぜそうなっているのか、もっといい方法がないのか等を絶えず考えます。

気配りも抜群です。

問題意識を持つということは、やっていること、聞いたこと、知り得たこと等で、疑問点があれば明確にするのです。そうすることで、本質的なことが見えてきます。

逆に問題意識がない人は、ボーとしていますから、自分の周りでチャンスが訪れてきても、問題意識を持たない、要するに、物事を本質的に見ていませんから、チャンスであることすら気がつきません。

従って、同じものを見ても、同じことが起こっても、問題意識のある人とそうでない人では、捉え方が違うため、進歩の度合いも違ってきます。

 私が、できる人になるために、いつも問題意識を持つことがポイントになることに気づいたのは、大学1年生の時でした。ひょんなことから、高校3年生の時に、国際経営コンサルタントに出会い、天職だと直感し同じ道のプロになることを決めました。

当時、私は、あまりにも英語が大の苦手で極端にできませんでした。そのため、国際経営コンサルタントになれる可能性が限りなくゼロに近いことの危機感を持ちました。そして、どうしたら英語を短期間で上達させられるかを模索し続けたのです。

結果、とんでもないことを思いついたのです。最もレベルの高い英語の講義を受けることにしたのです。最高の英語レベルを体感することで、目指すべき目標が具体的にわかり、それに向かって、一途に努力できるのではないかと判断したのです。

その最高の英語レベルとして挑戦することにしたのは、「速読の英語」という講義を受けることです。その講義では、政治・経済・科学・文化・教育・国際・時事等あらゆる大事な領域についての最新情報を提供する「タイム」という一流週刊誌が教科書として使われていました。その「速読の英語」の講義では、「タイム」誌を毎週クラスで速読し、参加者全員で発表・議論し合うという恐ろしいものでした。

授業そのものが、非常にレベルが高かったため、ほとんどの参加者は、英語圏の国で、大学や大学院を出て、長年英語を使う職業、例えば同時通訳などをしているバリバリの英語の達人でした。

方や私は、中学英語すらままならない英語の劣等生でしたから、授業に行ってもチンプンカンプン。

朝日カルチャーセンターというところが主催しており、受講料さえ払えば、3ヶ月間毎週1回、合計10回の講義を誰でも受講できるのです。が、私のあまりの英語レベルの低さに、講師もビックリ、戸惑っていました。

出席する毎にどんどん落ち込み元気がなくなっていく私。見るに見かねた講師は、私の発表の番が来たら、代わりに話してくれるという助け舟を出してくれるありさま。また、できるだけ私を当てないようにしたのです。そんなことで、私は講師の講義や他の参加者の発表・議論をただ聞いているだけでよくなりました。

その講義の中で、毎回講師が繰り返し語ってくれたことがありました。私にとってはその後の生き方に大きく影響させられたことです。

「目標を達成できる人になりたかったら、いつも問題意識を持ちなさい。この講義はそのためのものです。単に英語力や速読力をつけるためのものではありません。問題意識も持たない人は、どんなに英語力があって、いくら速読の訓練をしたとしても、書いてあることへの本質的な深い理解ができないため、力はつきません。逆に問題意識を持っている人は、多少英語力がなくても、また速読により細かいことが把握できなくても、書いてあることを深く掘り下げて本質的に理解しようとするので、どんどん思考能力が高まり、戦略立案能力や問題発見・解決能力もついていきます。結局、どの分野に進もうとも、どれだけ深く考えられるかが大事なのです

 講師が毎回こんなようなことを言われるので、私も肝に銘じ、その後、絶えず問題意識を持つようにしました。物事を見たり聞いたり読んだりしたら、まず、「なぜそうなのだろう?」「本当にそうなのかなあ?」「それって、本当に問題かなあ?」「解決するためには、どうしたらいいのだろう?」等の考える癖がつきました。

 単に、ニュース・事実・情報を得ても、鵜呑みにすることはなくなりました。却って、まずその内容の正しさや、表面的ではなく本質的な意味を考えることが、自然となりました。ですから、知恵を授けてくれた、その講師にはとても感謝しています。