経営コンサルティングをする際、「ベンチャー3の年ルール」を私は打ち出している。と言うのは、新しい事業を始めて3年経ってもものにならなければ、まず、ビジネスモデルが間違っていないかどうかをチェックする。

もし、ビジネスモデルに問題がないならば、そのビジネスモデルを実行するはずの最高経営責任者(CEO)が、間違いなく悪い。なので、その事業のやり直しが許されるのなら、CEOを早急に変える。そうすると、その新しいCEOに力があれば、ほとんどその事業は成功する。

これはベンチャーラッシュ時代の特徴と言っていいほどの成功のルールなのだ。ベンチャーに挑戦し続けてきた企業、例えば、イオン、オムロン、オリックス、ソフトバンクのトップはこのことをよく理解し、実践してきた。

そもそもまともなビジネスモデルで力のあるCEOであるならば、3年もあれば十分成果は出せる。実は3年でも長いくらいだ。早ければ6ヶ月で成果を出す企業もある。

残念ながら、ほとんどの日本の経営者は、3年経って事業で成果が出ていなくても、諦めない。もう少し頑張ればなんとかなるのではないかとのかすかの希望を基に、ずるずるとやり続けるのだ。

この防止策としては、新しく事業を始める際、かならず3年間という事業決着期間を設けること。そして、3年経っても芽が出ていなければ、「ベンチャー3年のルーツ」に従って事業を即刻止めることだ。

これが簡単なようでなかなかできないことなのだ。ほとんどのベンチャー経営者は、3年やって成果が出なくても、そのままやり続ける。

一昔前までの高度経済成長期やバブル経済期なら、それでも良かった。やり続けられる経済的余裕があったし、経済そのものが右肩上がりでとても良かったので、確かにやり続ければ、ほとんどの企業では、成果は出たのだ。

だが、「ベンチャーラッシュ時代」の今は違う。競争が激し過ぎる。3年でものにならなければ、その後もダメである可能性は極めて大きい。これを肝に銘じるべきだ。