一時期、ソフトバンク、楽天、ライブドア、「村上ファンド」、ドン・キホーテ、夢真、外資系投資銀行、「ハゲタカファンド」等が、「敵対的買収」を試みた。しかし、結局、どれも成功しなかった。

 最後まで本気でやるつもりなら、強引にできたはずだ。でも、しなかった。いずれも、途中で諦めたのだ。企業の合併・買収(M&A)が盛んになり、急に「敵対的買収」の動きが増えた時点で、上場企業の間で、恐怖心が広がった。「明日は我が身」と。

 そんなことから、「敵対的買収」を防止するファイナンスや法律上のテクニックがどんどん紹介された。そして、上場企業は慌てて、その防止策を導入したのだ。

 勿論、資本主義経済に生きる我々は、このようなテクニックを用い、「敵対的買収」を防止することも考えなければならないだろう。だが、「敵対的買収」を防止する最も効果的な方法は、そんなテクニックを使うことではない。

 そもそも会社はどうして存在できるのかを考えてみて頂きたい。

 顧客、取引先、社員、株主、つまり所謂「ステークホルダー」が、会社のために、やるべき仕事をしたり、応援したりしてくれるから成り立つものだ。そして、彼らが反対すれば、そもそも「敵対的買収」はやる意味がなくなる。

万が一、「ステークホルダー」の反対を押し切って、「敵対的買収」を行ったとしても、新オーナー又は新大株主を「ステークホルダー」は、受け入れないであろうから、顧客や取引先は会社から離れ、社員は頑張らなくなるか、辞める。そして、既存株主は、新オーナー又は新大株主を敵対し、戦いを挑む。

こんなことが起こったら、会社の価値が下がり、最悪の場合、事業自体継続していくのが困難となる。であれば、元々強引に「敵対的買収」をした意味がなくなるのだ。

このようなことから、「敵対的買収」に対する最強の防衛策は、既存「ストックホルダー」を味方につけることだ。でも、いきなり味方につけることは、まず無理だ。常日頃から、しっかり、顧客、取引先、社員、既存株主を大事にし、会社のファンにしておく必要がある。逆にそれさえしておけば、どんな「敵対的買収」に対しても、鬼に金棒となる。

買収する側は、会社に価値があるから買収するわけだ。価値が下がるようであれば、買収する理由がなくなるので、強引な買収をする意味もなくなるのだ。