なかなか回復しなかった長期的不況がようやく終わりつつある。ただ、その不況があまりに長過ぎたため、企業規模に限らず、ほとんどの会社が生き残るために今でも必死だ。 

最も苦しんでいるのが古い日本的経営を今でも実行しているところだ。それらの企業は、行っている日本的経営の問題点が良くないことがわかっているが、他にどうすることもできないため、現状を続けている。

かつて、日本企業は経営手法を米国から学んだ。昔と違い、日本企業も経営手法においてかなり進んだため、そっくりそのまま米国式を導入する必要はないが、もう一度米国から経営を学び、米国企業が復活できた最大のカギとなる「日米融合経営」を習得・導入しなければ、21世紀に勝ち組みとして生き残れないであろうというのが、私の正直な意見だ。


日米融合経営とは

 高度経済成長期に効果のあった終身雇用、年功序列に代表される日本的経営手法が今機能しなくなっている。一方「スピード経営」や成果主義を中心とする米国型経営手法が、効果を出し、日本でも段々注目を浴びてきた。米国企業が伸びている姿を見て、米国型経営手法、特に米国型人事管理システム導入のニーズが再度出てきている。

 ただ、20年近く米国にいて米国企業を内外から観察してきたものとして、指摘させて頂くと、米国企業が伸びている理由は、「日米融合経営」にあると見ている。

ちなみに「日米融合経営」とは、簡単に言うと、米国型経営手法と日本的経営手法の良いところを組み合わせた経営手法となる。つまり、米国の合理的なやり方と日本の人情的或いはファミリー的なやり方を融合させたものだ。

 よりよく「日米融合経営」を理解頂くために、次にその特徴を紹介する。


第一線の社員、つまり顧客や取引先などと直接接している社員にできるだけの権限と責任を持たせることで、迅速な顧客対応によるスピード経営を実現しようとする

中間管理職をなくし、組織のスリム化とプロフェッショナル化を推進する

社長やトップマネジメントのリーダーシップを重視し、団結力とスピード力を強化する

社内でのパーティーやイベントを頻繁に行うことなどで、社員を家族の一員のように扱い、社員にも自覚してもらうことによる忠誠心の強化を図る

年齢・性別・学歴よりも成果を重視した評価システムによって、昇進・昇給を決める

各社員に専門を追求させ、社員のプロフェッショナル化を推進する

新卒の新入社員の採用を減らし、各分野で経験と実績、つまり力のあるプロを社員として中途採用する

社内での研究会、トレーニング、セミナー、ビジネススクール、ユニバーシティ制度などを活発に行う

米国式社外取締役並びに執行役員制度を取り入れ、株主を代表する取締役・監査役と会社の業績の責任を負う社長並びに役員を立て分け、会社の業績評価を明確にする

IR活動を重視し、会社を理解してもらうようトップマネジメント並びに社員は努力

する

社員は専門を持ったプロ(専門家)集団とするが、チームワークはもっと重視させる

意思決定においては、内容に応じてトップダウンとボトムアップを使い分け、いずれもスピーディーにできる体制を整える

社長を含め社内の誰とでも自由に意見・情報交換できるオープンコミュニケーションの雰囲気・体制を築く

定期的(1年に1回以上)に社員と上司の合意による目標を設定し、業績を評価する「目標管理制度」(MBO)を導入し、その結果を社員と上司間でしっかり話し合う


「日米融合経営」を実践して蘇った米国企業

1980年代~90年代前半まで,日本企業に負けていた米国企業が徐々に復活した。その後、日本企業が弱体化して、今また強くなりつつあるのは、「日米融合経営」を実践しているからだと私は思っている。

米国企業は、80年代後半~90年代前半までの間、徹底的に日本的経営を学び、米国で生かされる部分だけを既存の米国型経営にどんどん導入した。要するに「日米融合経営」の実践に挑戦したのだ。

今急成長しているベンチャー企業や優良企業と呼ばれている米国企業を視察したり、コンサルティングをしたりすると不思議な思いにかられる。昔どこかで見たり体験したりした場面によく遭遇するからだ。

それらは、まさに80年代まで生きていた日本的経営の要所なのだ。日本企業内で失われたものが、米国の急成長中のベンチャー企業や優良大手米国企業の中で、継承されている。

90年初頭に当時ソニー会長であられた盛田昭夫氏、EDS社創業者でペロー・システムズ会長兼最高経営責任者のロス・ペロー氏、故エドワード・デミング博士、故ピーター・ドラッカー博士など日米の著名経営者・経営思想家に日本的経営を教えるビジネススクールを創る構想を伝え、協力を要請した。

その際、ほとんどの方がこれからは米国型経営のみでもなく、日本的経営のみでもない「日米融合経営」を教える必要があると言われたのを昨日のように思い出す。皆さん第一線でグローバルな経営に携わっておられる方々であるだけに、当時既に本質を見抜いておられたのであろう。


日米融合経営」導入法

それでは、効果的な「日米融合経営」はどのようにしたら確立できるのであろうか? 様々なやり方はあると思うが、私が導入のためにコンサルタントとして採用した方法をプロセス毎に簡単に紹介させて頂く。


(1) まず、日本的経営(通常現在自社で行っている経営手法)の長所と短所を徹底的に研究し把握する

(2) 米国で今急成長しているベンチャー企業や優良企業を研究する

(3) できれば、それら米国ベンチャー企業や優良企業を視察し、経営陣と意見・情報交換する

(4) 研究したり視察したりした米国ベンチャー企業や優良企業と自社との経営体制・手法の比較分析をし、良いところは自社用のアレンジし直してどんどん導入する

(5) 導入においては、センシティブなプロセスでもあるため、各部署から代表が参加する社長直属の「『日米融合経営』導入実行委員会」(仮名)を作り、徐々に進める

(6) 定期的(できれば最低四半期に一度)に導入成果をチェックし、問題があればすぐに担当者の声を聞きながら、「『日米融合経営』導入実行委員会」で再検討し、代替案を考え実行する


 導入成果については半信半疑の方が多いと思うが、実際に導入した日本企業のほとんどがその後急成長したり、悪かった業績を回復させたりしているところをみると、試す価値は十分にあると思う。