まず、就職した仕事がいきなり理想的な「天職」になることはほとんどないようです。どうしても、この仕事がしたいと思って、就職する人は少ないですし、万が一そう思って就職できたとしても、全然違う部署に回され、想像したこともなかった仕事をすることも往々にしてあるのです。

 でも、まず就職して仕事をしてみないと、どんな仕事が自分に向いているのか、また好きなのか、まったくわかりません。自分の向き不向きを発見するのには、とにかくどこでもいいし、何でもいいので、徹底して働いてみることです。

学校を卒業したばかりでは、働くということがどういうことかピンとこない新入社員も多いことでしょう。


 私の場合は、高校3年生の時に、「国際経営コンサルタント」を天職と直感し、目指すことになりました。それで、その分野では、世界最大級の国際会計・経営コンサルティング会社のニューヨーク本社に採用になりました。ということは、幸運にも、最初の就職先が天職先となったのです。非常に珍しいケースです。

 それでも、最初のうちは、英語も専門もまったくわからず、天職を勘違いしたと非常に焦ったものです。自分では天職だと思って就職したのに、現実に働いてみたら、天職とか言う以前の話で、まず基本的な仕事ができないのです。従って、天職にはなり得ないのです。

 お陰で、毎日悩みに悩みました。大好きで向いている、憧れの「天職」である「国際経営コンサルタント」になりたいということで、採用面接では頭を下げて、奇跡的に採用して貰ったのです。

「実際に働いてみたら、レベルが高過ぎてできません。適職ではないようです」とは口が裂けても言えません。

その時思いました。働いてもいないのに、勝手に天職だと決めてはいけないことを。

ですから、憧れの仕事はあってもいいと思いますが、まず働いてみて、将来どうするかを決めることが先決だと思います。


私の高校時代の親友は、医者になりたいということで、国立大学医学部に進み、医師国家試験にも合格し、修習生を終え、無事念願の医師になったのです。が、その後突然、医者は向かいないと言い出したかと思うと、弁護士の方が、合っていて「天職」だと言い切るのです。

そんなことから、元々「超」頭のいい人間でしたので、司法試験を独学かつ短期間で勉強し、パスして弁護士になってしまいました。

先日彼と会った時に、医者時代と比較にならないほど晴れ晴れとした表情で、とても楽しそうでした。やはり、「法的に弱い立場の人を助けたい!」と彼が言ってたように、弁護士業の方が、彼にとって使命を感じることもあり、天職なのかも知れません。


就職は、天職を見つけるための最初のステップになります。就職してみて、また働いてみて、初めて自分の得意・不得意、向き不向き、好き嫌いがわかります。それ以上に、やりがい生きがいのある仕事は、まず何でもいいので、働いてみないとまったくわかりません。ヒントすら得られないでしょう。

天職が何であるかを、あれこれ理屈で考えるのではなく、とにかくまず働いて体験してみましょう! 働いてみて、初めて適職や天職が見えてくるのです。

どこの会社に勤めるにしても、基本的な会社での仕事はどこも変わりません。ですから、業種より、職種を深く追求していけば、天職が見つかる可能性も出てきます。天職を見つけるコツは、絶えず経験と知識と人脈を増やす努力をすることでしょう。