3月に講談社から「天職の見つけ方」という本を出します。ですので、これから、ブログでもその一部を以下のように時々紹介します。

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 ある時、フリーターさんから質問されました。

「就職って何ですか?」って。

 聞くと その人は、高校を中退してから、ずっとフリーターしてきて、一度も就職したことがないそうです。

でもちょっと待って下さい! 就職の定義は、「新しく職を得ること」です。ですから、フリーターも、働いている時は、れっきとした「就職していた人」なのです。

ちなみに、フリーターとは、和製洋語で、フリーとアルバイター(アルバイトをする人)の混交。意味は、「自分の好きなときに好きな仕事だけをするという形のアルバイター」です。

 好きなときに、好きなことだけかも知れませんが、でも雇用主から正式に許可を得て仕事をしているのです。私に言わせると、それは正真正銘「就職」なのです。

 つまり、広義の意味の「就職」って、「あたらしく一定の仕事をする」ことです。それが、例え、短期であろうと、いつまで続くかわからなくてもです。超短期のアルバイト、例えばチラシ配りから始まって何でも、要するにどんな仕事でもです。

 フリーターだろうと、大企業の正社員であろうと、働いているという点では同じです。ですから、働いていれば、就職したことになり、働いていなければ、就職していないのです。

 従って、「就職」とは、職に就くことなのです。「就職」で大事なことは、その職、つまり仕事をすることで、お金がもらえるわけですから、その仕事をすることにおいて、プロ意識をもつことです。仕事をすることで、例え一円でもお金を頂く場合、その仕事を実行するにおいてプロなのです。

 と言うことで、私にとって「就職」とは、その仕事において、プロになるということです。プロとは、プロフェッショナルの意味で、お金を貰って、仕事をする人です。正社員だろうとアルバイトだろうと関係ありません。お客様の観点からはどうでもいいことだからです。 

顧客は、何かの理由で自分ではできないため、仕事をお金を出して、代わりでしてもらう、もしくは手伝ってもらうのです。その支払いが顧客から直接あるか、会社を通してかの違いこそはありますが。

 お金を貰う仕事を始めた瞬間、あなたはもう就職しています。でもその仕事が続けられるかどうかは、あなたの働きぶりや成果によります。どんな仕事もです。働きぶりや成果が、お金を出す人達の期待を下回れば、費用対効果のルールから、あなたは、その仕事から辞めさせられるでしょう。

 アルバイトだろうと、短期の仕事だろうと、「働く」、即ち「就職する」ということは厳しいことなのです。だから、人間的に成長するのです。自己管理をして頑張らなければならないからです。

どんなに好きな仕事でも、いつも楽しいことばかりではありません。厭な上司、不合理なことを要求する顧客、我儘な同僚、言うことをきかない後輩を相手に働かなければなりません。いつも、楽しく自分の好きなことだけしていたら、実は飽きてしまいます。人間、楽しいこと、面白いこと、大変なこと、辛いこと、厭なこと、頭にくること、頑張らなければならないことなど、瞬間瞬間違うからメリハリができて、本当の楽しさが味わえるのです。

ですから、「就職」って、楽しいこと、辛いこと、我慢すること、厭なこと、人間的に成長することなのです。一言でいうと、人間が人間らしく生きるために必要なことでなのです。

精神的にも体力的にも頭脳面でも、一番最高潮である時、即ち10代後半から50歳位まで、独立も含めて就職することは、人間本来のやりがいや生きがいを与えてくれます。「生きててよかった!」となるわけです。

なぜだかわかりますか? 就職するということは、好むと好まざると他人とかかわることでもあるからです。人間が一番美しく輝く時は、他人とのかかわりの中で、自分らしさを出しながら、少しでも他人や社会に役立っている時なのです。